理論の用語集

判定の根拠にしている構成概念です。それぞれ何を言っているかに加えて、心理学のどの分野の、どういう系譜に位置するのかを書いています。どれも恋愛のために作られた理論ではありません。

— リスク調整モデル Risk Regulation Model 人は誰かに近づくとき、「つながりたい」という接近の目標と「拒絶されて傷つきたくない」という自己防衛の目標を同時に走らせている。どちらが勝つかを決めるのは、「相手が自分をどう見ているか」の推定。ここが低く見積もられていると、認知・感情・行動の3つのif-thenルールがすべて防衛側に倒れる。 理論統合レビュー社会心理学 / 対人関係研究(relationship science)— 投資モデル Investment Model 関係を続ける力(コミットメント)は、満足度 + 投資量 − 代替の質 で決まる。コミットメントが高い人は、他の選択肢を無意識に低く評価する(代替の切り下げ)。 モデル+メタ分析社会心理学 / 相互依存理論の系譜— 認知的不協和 Cognitive Dissonance 自分の行動と考えが食い違うと不快になり、つじつまを合わせる方向に考えのほうが動く。恋愛の文脈でよく引かれるのは「努力の正当化」——手に入れるのに苦労したものを高く評価する働き。 理論+実験社会心理学 / 認知的一貫性理論— 単純接触効果 Mere Exposure Effect 繰り返し接触するだけで、対象への好意度が上がる。 実験+メタ分析社会心理学と認知心理学の境界 / 感情研究— 拒絶感受性 Rejection Sensitivity 拒絶を不安なまま予期し、敏感に読み取り、過剰に反応してしまう傾向。曖昧な行動に、意図的な拒絶を見てしまう。 実験+メタ分析社会的認知 / パーソナリティ心理学 + 発達心理学— 覚醒の誤帰属 Misattribution of Arousal 別の理由で高まった生理的な興奮を、目の前の相手への魅力だと取り違える。いわゆる吊り橋効果。 実験(再現性に議論あり)社会心理学 / 情動理論— 成人の愛着 Adult Attachment 乳幼児期の愛着理論を成人の恋愛関係に適用した枠組み。近づきたい度合い(不安)と、距離を取りたい度合い(回避)の2軸で個人差を捉える。 実証研究社会心理学 / 発達心理学の系譜— 愛の三角理論 Triangular Theory of Love 愛を「親密さ」「情熱」「コミットメント」の3成分に分解し、その配合で愛の種類を記述する。 理論社会心理学 / 愛の類型論— 所属欲求 Need to Belong 人は継続的で良質な対人関係を求める基本的な動機を持つ、という仮説。 レビュー社会心理学 / 動機づけ研究— 自己開示の相互性 Reciprocal Self-Disclosure 段階的に深まる相互的な打ち明け合いが、親密さを高める。 実験社会心理学 / 親密性研究— 共同的関係と交換的関係 Communal vs Exchange 相手の必要に応じて与える関係(共同的)と、与えたぶんの見返りを期待する関係(交換的)を区別する枠組み。 実験社会心理学 / 対人関係の型— キャピタライゼーション Capitalization 良い出来事を報告されたときに、どう反応するかが関係の質を左右する。 実証研究社会心理学 / 関係維持— 近接性 Propinquity 物理的な近さが、関係の形成をよく予測する。 現地調査社会心理学 / 対人魅力の古典— 類似性 Similarity-Attraction 似ていることが魅力を高める。ただし関係の段階によって「実際の類似」と「感じられる類似」の効きが変わる。 メタ分析社会心理学 / 対人魅力の古典— 身体的魅力 Physical Attractiveness 初対面に近い場面では、身体的魅力が「また会いたい」をもっともよく予測する。 実験社会心理学 / 対人魅力の古典— 短時間観察 Thin Slices 5分以下、短ければ30秒程度の観察でも、他者についての判断はかなり当たる。 メタ分析社会心理学 / 対人知覚— 配偶者選好 Mate Preferences パートナーに求める条件と、その性差をめぐる研究群。 国際比較+実証進化心理学 / その批判的検証— 曖昧さの魅力 Lure of Ambiguity 相手についての情報が増えるほど、好意度が下がる傾向。 実験社会心理学 / 対人知覚— 脆弱性・ストレス・適応モデル Vulnerability-Stress-Adaptation 関係の行方は、個人の持つ脆弱性・降りかかるストレス出来事・二人の適応プロセスの相互作用で決まる。 レビュー社会心理学 / 結婚研究— 関係は予測できるのか Limits of Prediction 43の縦断研究を機械学習で統合した結果、関係の質をもっとも強く予測したのは、相手の属性ではなく回答者自身が関係をどう感じているか(コミットメント・感謝・満足)だった。 大規模統合関係科学 / 方法論— 相互依存理論 Interdependence Theory 人間関係を、得られる結果と比較水準(期待値・代替の質)の関係として記述する枠組み。 理論社会心理学 / 社会的交換の系譜— 代替の切り下げ Derogation of Alternatives コミットメントが高い人は、代替となりうる相手を実際より低く評価する。 実験社会心理学 / 関係維持— 情動の二要因理論 Two-Factor Theory of Emotion 情動は「生理的な興奮」と「その原因の解釈」の2要因で決まる。 実験社会心理学 / 情動理論— 認知-感情処理システム CAPS 人格を「特性の量」ではなく「状況によって発動する if-then のパターン」として捉える枠組み。 理論パーソナリティ心理学— 交差検証 Crossvalidation モデルを作ったのと別のデータで性能を確かめる手続き。これを行わないと、精度は必然的に高く出る。 方法論統計・研究方法論— 透明性の錯覚 Illusion of Transparency 自分の内心が相手にどのくらい漏れているかを、人は一貫して過大に見積もる。 実験社会心理学 / 自己中心性バイアス— スポットライト効果 Spotlight Effect 自分の失敗や外見が他人に注目される度合いを、人は大幅に過大評価する。 実験社会心理学 / 自己中心性バイアス— ネガティビティ・バイアス Negativity Bias 悪い出来事は良い出来事より、心理的な影響が強く長く残る。 レビュー心理学全般 / 情報処理の非対称— 確証バイアス Confirmation Bias すでに持っている考えを支持する情報を選んで集め、反する情報を軽く扱う。 レビュー認知心理学 / 推論の歪み— 社会的役割理論 Social Role Theory 行動の性差の多くは、男女が社会の中で占める役割と、そこで期待される振る舞いから生じる。 理論・レビュー社会心理学 / 性差の起源をめぐる論争— 男らしさの不安定性 Precarious Manhood 「男らしさ」は、女らしさと違って継続的に証明し続けないと失われる状態として社会的に扱われている。 実験(5研究)社会心理学 / ジェンダー規範— 性の二重基準 Sexual Double Standard 同じ性的な振る舞いが、男性と女性で違う評価を受ける。 メタ分析社会心理学 / ジェンダー規範— 自己拡張モデル Self-Expansion Model 人は自己を拡張する(できることや視野を広げる)動機を持ち、親密な関係はその主要な手段になる。 実験+現地調査社会心理学 / 動機づけと親密性— ポジティブ幻想 Positive Illusions パートナーを本人の自己評価より良く見ている度合いが、関係の満足度と結びつく。 縦断研究社会心理学 / 関係維持— 適応行動 Accommodation パートナーの破壊的な振る舞いに、同じように返さず建設的に応じる傾向。 実証研究社会心理学 / 関係維持— ミケランジェロ現象 Michelangelo Phenomenon パートナーが「その人がなりたい自分」に近づく方向で扱うと、実際にその方向へ変化する。 実証研究社会心理学 / 関係と自己変容— 自己開示と好意 Self-Disclosure and Liking 打ち明けることと好かれることの間に、3方向すべてで正の関連がある。 メタ分析社会心理学 / 親密性研究— 別れの予測因 Predictors of Dissolution 恋愛関係の解消をもっとも強く予測するのは、コミットメント・愛情・関係への適応といった内側の変数。 メタ分析関係科学 / 縦断研究の統合— 崩壊の連鎖 Cascade Model of Dissolution 会話の中の破壊的な型(批判・防衛・回避などの連鎖)が、その後の関係悪化と関連する。 縦断研究臨床・関係科学 / 夫婦研究— 自己への他者の取り込み Inclusion of Other in the Self 相手を自分の一部として取り込んでいる度合いが、親密さをよく捉える。 尺度開発社会心理学 / 親密性の測定— 成人の愛着 Adult attachment 近くにいる相手との関係で、人が「近づくこと」と「傷つかないこと」をどう調整するかの枠組み。現在は「見捨てられ不安」と「親密さの回避」という2つの連続した次元で測る。 枠組み発達心理学 / 対人関係研究への応用— 選択のパラドクス Choice overload 選べるものが増えすぎると、かえって選べなくなり、選んだあとの満足も下がるという効果。 効果行動経済学 / 意思決定研究— サンクコスト効果 Sunk cost effect すでに払って戻らないものの大きさが、この先どうするかの判断に入り込んでしまう効果。 効果行動経済学 / 意思決定研究— ピーク・エンドの法則 Peak-end rule 体験の記憶は、いちばん強かった瞬間と終わり方でほぼ決まり、長さはあまり効かないという法則。 効果認知心理学 / 記憶と評価— インパクト・バイアス Impact bias / Immune neglect 悪い出来事のあと、自分がどれくらいの期間つらいままかを、人は実際より長く見積もる。 効果社会心理学 / 感情予測研究— ロミオとジュリエット効果 Romeo and Juliet effect 周囲から反対されるほど、二人の愛情はかえって強まる、とされた効果。 効果(現在は支持されていない)社会心理学 / 関係と周囲の影響— ベンジャミン・フランクリン効果 Ben Franklin effect 人に何かをしてもらった側ではなく、してあげた側のほうが、相手を好きになるという効果。 効果社会心理学 / 認知的一貫性の応用— ゲイン・ロス効果 Gain-loss effect ずっと好意的な相手より、否定から好意へ転じた相手のほうが魅力的に見えるという効果。 効果社会心理学 / 対人魅力の古典— ハロー効果 Halo effect ある一点の印象がよいと、無関係な他の面までよく見えてしまう効果。 効果社会心理学 / 対人知覚— バーナム効果 Barnum effect / Forer effect 誰にでも当てはまる曖昧な記述を、自分だけに当たっていると感じてしまう効果。 効果社会心理学 / 自己認識と説得— 弱い紐帯の強さ The strength of weak ties 新しい情報や機会は、親しい相手よりも、たまに会う程度の相手から届きやすい。 理論社会学 / ネットワーク研究— 社会的つながりと寿命 Social integration and mortality 人とのつながりが強い人ほど、その後の生存の見込みが高いという関連。 メタ分析による知見健康心理学 / 疫学— 出会いの経路の変化 Changing channels of meeting カップルがどこで出会うかは時代とともに変わり、オンラインが最大の経路になった。 実データによる知見社会学 / 人口学— カメレオン効果 Chameleon effect 人は意識しないまま相手のしぐさや姿勢をまねており、まねられた側は相手を好ましく感じる。 効果社会心理学 / 非意識的な模倣— フット・イン・ザ・ドア Foot-in-the-door technique 小さな頼みを先に引き受けてもらうと、あとの大きな頼みにも応じやすくなる。 技法社会心理学 / 承諾誘導研究— ドア・イン・ザ・フェイス Door-in-the-face technique 断られる前提の大きな頼みを先にして、そのあと小さく下げると、応じる割合が上がる。 技法社会心理学 / 承諾誘導研究— 希少性の原理 Scarcity principle 手に入りにくいものほど価値が高く見える。もともと多かったものが減った場合は、さらに高く見える。 効果社会心理学 / 価値判断— IKEA効果 IKEA effect 自分で手をかけて作ったものを、人は実際より高く評価する。 効果行動経済学 / 価値評価— ハイパーパーソナル・モデル Hyperpersonal model 文字だけのやりとりは、対面より親密に感じられることがある。手がかりが少ないぶん相手を理想化しやすいため。 理論コミュニケーション学 / 媒介コミュニケーション— 不確実性低減理論 Uncertainty reduction theory 初対面のやりとりで人がしているのは、相手についての不確かさを減らすこと。不確かさが下がるほど好意は上がると予測される。 理論コミュニケーション学 / 初期のやりとり— 言葉づかいの同調 Language style matching 助詞や代名詞といった機能語の使い方がどれくらい揃っているかが、関係の始まりと続きやすさと関連する。 指標・知見計算言語学 / 関係研究への応用— 最適停止(37%ルール) Optimal stopping / Secretary problem 候補を順に見て最良の1人を選ぶとき、最初の約37%を見送ってから、それを超える最初の相手を選ぶのが最適になる。 数学の問題統計・意思決定理論— 望ましさの階層 Desirability hierarchy 人は自分より望ましさの順位が高い相手に連絡を送る傾向があり、その差は平均して約25%上だった。 実データによる知見計算社会科学 / 配偶市場— 初頭効果 Primacy effect in impression formation 同じ情報でも、先に出たもののほうが印象を強く方向づける。 効果社会心理学 / 印象形成— 社会的痛み Social pain 人から拒絶されたときの反応は、体の痛みの仕組みと一部を共有しているのではないか、という仮説。 仮説社会神経科学 / 拒絶研究— 逆推論の問題 Reverse inference 「この領域が働いたから、この心の働きが起きていた」という向きの推論は、多くの場合成り立たない。 方法論認知神経科学 / 方法論— 反芻 Rumination 同じ悩みを繰り返し考え続ける傾向。落ち込みが強まることや、新たな発症を予測する要因として測定されている(長引くかどうかは、最初の症状をそろえると予測しなかった)。 構成概念臨床心理学 / 抑うつ研究

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