投資モデル
Investment Model · 社会心理学 / 相互依存理論の系譜
何を言っている理論か
関係を続ける力(コミットメント)は、満足度 + 投資量 − 代替の質 で決まる。コミットメントが高い人は、他の選択肢を無意識に低く評価する(代替の切り下げ)。
心理学のどこにあるか
Thibaut & Kelley (1959) の相互依存理論が出発点。「満足度」と「代替の質」はそこから直接引き継いだ概念で、Rusbult が「投資量」を足してコミットメントの予測モデルに拡張した。恋愛だけでなく、仕事や組織へのコミットメントにも同じ枠組みが使われている。
研究の性質と注意
52研究・60標本・11,582名のメタ分析で、この3変数がコミットメントの分散のおよそ3分の2を説明した。相関がもっとも強いのは満足度。恋愛以外(仕事へのコミットメントなど)にも当てはまるが、恋愛のほうが当てはまりは強い。
この理論の主要な研究(4本)
- 投資モデルの原典(実証研究・1980)
関係を続ける力は、満足度だけでは決まらない。積み上げた投資と、他の選択肢の魅力の両方が効く。
Rusbult, C. E. (1980). Commitment and satisfaction in romantic associations: A test of the investment model. Journal of Experimental Social Psychology, 16(2), 172–186. - 代替の切り下げ(実験・実証・1989)
コミットメントが高いほど、代替となりうる相手を実際より低く評価した。関係を守る自動的な維持メカニズム。
Johnson, D. J., & Rusbult, C. E. (1989). Resisting temptation: Devaluation of alternative partners as a means of maintaining commitment in close relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 57(6), 967–980. - 投資モデルのメタ分析(メタ分析・2003)
満足度・投資量・代替の質はいずれもコミットメントと有意に関連し、合わせて分散のおよそ3分の2を説明した。もっとも強いのは満足度。
Le, B., & Agnew, C. R. (2003). Commitment and its theorized determinants: A meta-analysis of the Investment Model. Personal Relationships, 10(1), 37–57. - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。
Thibaut, J. W., & Kelley, H. H. (1959). The Social Psychology of Groups. Wiley.
この理論を使っている悩み(7件)
- 恋人がいるのに、他の人が気になる 強い
「他が気になる」は、コミットメントの構成要素が動いたシグナルとして説明できる。 - 冷却期間を置けば、復縁できるのか 弱い
「冷却で価値が上がる」を確かめた研究は見つからない。投資モデルのほうが説明力がある。 - 我慢は関係にいいのか そこそこ
きつい態度に同じ態度で返さず、落ち着いて応じる人ほど関係の質が高い。ただし測っているのは言い返さない行動であって、不満を飲み込むことではない。 - 「運命の人」がいると思うと、どうなるのか そこそこ
関係についての信じ方(運命か、成長か)が、問題が起きたときの行動と結びついている。 - ここまで来たから、別れられないのか そこそこ
戻らない投資の大きさが、続けるかどうかの判断に入り込む。 - 復縁したあと、うまくいくのか そこそこ
戻った関係は平均して質が低く、回数で悪化する。分けているのは戻る理由と、満足度・代替の質。 - 手をかけた関係ほど、価値が高く見えるのか 強い
自分で手をかけたものの価値評価は上がる。ただし完成した場合に限られる。