関係は予測できるのか
Limits of Prediction · 関係科学 / 方法論
何を言っている理論か
43の縦断研究を機械学習で統合した結果、関係の質をもっとも強く予測したのは、相手の属性ではなく回答者自身が関係をどう感じているか(コミットメント・感謝・満足)だった。
研究の性質と注意
相手側の変数の寄与は小さかった。「誰と付き合うか」より「その関係をどう感じているか」のほうが予測力を持つという結果は、条件で相手を選ぶ発想への強い反証になる。オンラインデーティングのマッチング予測に証拠が乏しいという指摘とも整合する。
この理論の主要な研究(4本)
- 理想と実際のズレ(実証研究・2008)
事前に申告した理想は、実際の魅力の判断をほとんど予測しなかった。申告された性差は、実際の選択には現れにくい。
Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2008). Sex differences in mate preferences revisited: Do people know what they initially desire in a romantic partner? Journal of Personality and Social Psychology, 94(2), 245–264. - 関係の質を何が予測するか(機械学習・大規模統合・2020)
もっとも強く効いたのは、相手の属性ではなく、回答者自身がその関係をどう感じているか(コミットメント、感謝、満足)だった。相手側の変数の寄与は小さかった。
Joel, S., Eastwick, P. W., et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality across 43 longitudinal couples studies. PNAS, 117(32), 19061–19071. - オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。
Finkel, E. J., Eastwick, P. W., Karney, B. R., Reis, H. T., & Sprecher, S. (2012). Online dating: A critical analysis from the perspective of psychological science. Psychological Science in the Public Interest, 13(1), 3–66. - 初対面の好意は予測できるか(実証研究(機械学習)・2017)
好意を3つに分けると、本人の分が12〜14%、相手の分が23〜26%、組み合わせ固有の分が31〜36%で、組み合わせ固有の分がいちばん大きかった。機械学習は本人の分を4〜18%、相手の分を7〜27%説明したが、組み合わせ固有の分はどの組み合わせでも予測できなかった。
Joel, S., Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2017). Is romantic desire predictable? Machine learning applied to initial romantic attraction. Psychological Science, 28(10), 1478–1489.
この理論を使っている悩み(5件)
- モテは一本の序列で決まるのか 弱い
人が惹かれる理由は複数あって、1本の順位にまとめる根拠はない。 - 男女は根本的に違うのか 弱い
平均の差はあるが小さく、国による差のほうが大きい。脳の性差を根拠にした説明は裏づけが弱い。 - 相性のいい相手は事前に分かるのか 弱い
相手の属性から相性を予測する試みは、うまくいっていない。効いていたのは「その関係をどう感じているか」のほう。 - 理想のタイプを決めておくべきか 弱い
事前に申告した理想は、実際の魅力判断をほとんど予測しない。 - 「37%を見送ってから決めろ」は正しいのか 弱い
37%という数字は厳密な条件下での最適解であり、恋愛はその条件を満たしていない。