成人の愛着
Adult attachment · 発達心理学 / 対人関係研究への応用
何を言っている理論か
近くにいる相手との関係で、人が「近づくこと」と「傷つかないこと」をどう調整するかの枠組み。現在は「見捨てられ不安」と「親密さの回避」という2つの連続した次元で測る。
心理学のどこにあるか
Bowlby の愛着理論を、Hazan & Shaver (1987) が大人の恋愛関係に拡張した系譜。
研究の性質と注意
4タイプに分ける見せ方が広まっているが、標準的な測定は連続量。タイプは高低で切った便宜的なもの。恋愛のために作られた理論ではなく、もとは乳児と養育者の関係を記述するために作られた。
この理論の主要な研究(2本)
- 恋愛への愛着理論の適用(実証研究・1987)
恋愛関係にも、安定・不安・回避に対応するパターンが観察されることを示した。以後の成人愛着研究の出発点。
Hazan, C., & Shaver, P. (1987). Romantic love conceptualized as an attachment process. Journal of Personality and Social Psychology, 52(3), 511–524. - 愛着の4分類モデル(実証研究・1991)
回避には2種類ある。人を必要としない拒絶回避型と、近づきたいが怖い恐れ回避型は、行動は似ていても内側が違う。
Bartholomew, K., & Horowitz, L. M. (1991). Attachment styles among young adults: A test of a four-category model. Journal of Personality and Social Psychology, 61(2), 226–244.
この理論を使っている悩み(12件)
- 既読無視がつらいのは、なぜか そこそこ
喧嘩の話を文字で送った場面では、期待する返信時間が平均19分から10分に縮み、期待が短いほど・不安が強いほど、来ないときのつらさが強い。 - 愛着スタイルで、恋愛のしかたは決まるのか そこそこ
不安と回避という2つの連続した物差しで測るのが標準。タイプの箱ではない。 - 「不安型」「回避型」は、変えられるのか そこそこ
愛着の目盛りは中程度に安定しているが、固定ではない。関係の経験とともに動く。 - なぜ「追う側」と「逃げる側」に分かれるのか 弱い
不安が高い側は近づこうとし、回避が高い側は距離を取る。この組み合わせで循環が起きやすいという報告がある。 - スキンシップは、関係を強めるのか そこそこ
触れ合いの多さと関係の満足には関連がある。ただしホルモン一つで説明する図式は単純化しすぎ。 - 不安型は治せるのか そこそこ
不安の目盛りは動く。動かすのは自分の目標を後押しされる経験で、速さは年単位。 - 回避型は、男性に多いのか 弱い
回避の男女差は全体でほぼゼロ(.02)。地域で集めた人では男性がやや高い(.14)が、ネットで集めた人では逆向き(−.06)。 - 回避型は、幼少期に作られるのか 弱い
幼いころの養育と大人の回避の関連は小さい。その後の友人関係や人づき合いの変化のほうが結びついていた。 - 回避型は、沈黙の間も記憶を整理しているのか 根拠なし
沈黙中の脳は測られていない。近い実験は、見知らぬ人の話の記憶を測ったもので、恋人の記憶ではない。 - 不安型は、全体の何割いるのか そこそこ
新聞の回答者と大学生では19〜20%。国の代表調査では11%。 - 不安型は、親との関係で作られるのか 根拠なし
母親の関わり方そのものは関連しなかった。親に関わる要因との小さな関連はあった。 - 安心させてもらえば、不安は落ち着くのか そこそこ
安心の感覚は「いま」の不安と、応援の感覚は「その後」の低下と結びついていた。