愛着の4分類モデル
実証研究・1991年・JPSP
この研究は何をしたか
自己観と他者観の2軸から、成人の愛着を安定型・とらわれ型・拒絶回避型・恐れ回避型の4つに分ける枠組みを提示・検証した。
何が分かったか
回避には2種類ある。人を必要としない拒絶回避型と、近づきたいが怖い恐れ回避型は、行動は似ていても内側が違う。
読むときの注意
現在の研究では、4分類より「不安」「回避」の2次元で捉えるほうが主流。分類は便宜的なもの。
この研究が根拠になっている悩み(12件)
- 既読無視がつらいのは、なぜか そこそこ
喧嘩の話を文字で送った場面では、期待する返信時間が平均19分から10分に縮み、期待が短いほど・不安が強いほど、来ないときのつらさが強い。 - 愛着スタイルで、恋愛のしかたは決まるのか そこそこ
不安と回避という2つの連続した物差しで測るのが標準。タイプの箱ではない。 - 「不安型」「回避型」は、変えられるのか そこそこ
愛着の目盛りは中程度に安定しているが、固定ではない。関係の経験とともに動く。 - なぜ「追う側」と「逃げる側」に分かれるのか 弱い
不安が高い側は近づこうとし、回避が高い側は距離を取る。この組み合わせで循環が起きやすいという報告がある。 - スキンシップは、関係を強めるのか そこそこ
触れ合いの多さと関係の満足には関連がある。ただしホルモン一つで説明する図式は単純化しすぎ。 - 不安型は治せるのか そこそこ
不安の目盛りは動く。動かすのは自分の目標を後押しされる経験で、速さは年単位。 - 回避型は、男性に多いのか 弱い
回避の男女差は全体でほぼゼロ(.02)。地域で集めた人では男性がやや高い(.14)が、ネットで集めた人では逆向き(−.06)。 - 回避型は、幼少期に作られるのか 弱い
幼いころの養育と大人の回避の関連は小さい。その後の友人関係や人づき合いの変化のほうが結びついていた。 - 回避型は、沈黙の間も記憶を整理しているのか 根拠なし
沈黙中の脳は測られていない。近い実験は、見知らぬ人の話の記憶を測ったもので、恋人の記憶ではない。 - 不安型は、全体の何割いるのか そこそこ
新聞の回答者と大学生では19〜20%。国の代表調査では11%。 - 不安型は、親との関係で作られるのか 根拠なし
母親の関わり方そのものは関連しなかった。親に関わる要因との小さな関連はあった。 - 安心させてもらえば、不安は落ち着くのか そこそこ
安心の感覚は「いま」の不安と、応援の感覚は「その後」の低下と結びついていた。
関係する理論
同じ話題で参照している研究
- リスク調整モデル(レビュー・2006)
相手の好意への確信が高い人は、脅威になりうる出来事を関係の確認に使う。確信が低い人は、同じ出来事を愛情が弱まった証拠として解釈し、先に距離を取る。 - 拒絶感受性(実験(4研究)・1996)
拒絶感受性が高い人ほど、そっけない対応などの曖昧な行動に意図的な拒絶を読み取った。本人もパートナーも関係に不満を抱えやすい。 - 拒絶感受性メタ分析(メタ分析・2023)
拒絶感受性が高い人ほど、自己評価する魅力度が低く、嫉妬が強く、パートナーからの愛情表現を少なく知覚する傾向があった。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。 - 恋愛への愛着理論の適用(実証研究・1987)
恋愛関係にも、安定・不安・回避に対応するパターンが観察されることを示した。以後の成人愛着研究の出発点。 - 認知-感情処理システム(理論・1995)
拒絶感受性のような構成概念は、この枠組みの中に位置づけられる。「性格が弱い」ではなく、特定の状況で起動する処理の癖。
書誌情報
Bartholomew, K., & Horowitz, L. M. (1991). Attachment styles among young adults: A test of a four-category model. Journal of Personality and Social Psychology, 61(2), 226–244.