悩み 38

「不安型」「回避型」は、変えられるのか

診断してタイプが分かったあと、いちばん知りたいのはここだと思う。

結論から言うと

変わる。ただし性格を入れ替えるようには変わらない。長期でみると中くらいの安定性で、関係の経験とともに動くことが追跡研究で示されている。

恋愛工学の答え

「性格は変わらない。合う相手を選ぶほうが早い。」

選別のコストを下げる発想です。変えるより選べ、という運用で語られます。

研究の答え

愛着の目盛りは中程度に安定しているが、固定ではない。関係の経験とともに動く。

同じ人を長期間追いかけた研究をまとめると、愛着の安定性は**中くらい**でした。性格のように動きにくい部分もあれば、関係の中で変わる部分もあります。

動く方向も一様ではありません。安定した関係が続くと不安や回避の目盛りが下がる、という報告があります。逆に、拒絶の経験が続くと上がることもあります。

**「一生このタイプ」ではないが、「意識すればすぐ変わる」でもない**。この中間が、今のところ言えるところです。

出典:成人愛着の安定性に関する長期追跡研究(Fraley らの系統)

研究の中身

成人愛着の安定性を扱った長期追跡研究の系統(Fraley らによる整理を含む)
何をしたか
同じ人を数か月から数年にわたって追いかけ、愛着の目盛りがどれくらい保たれるかを測る。関係の開始・終了などの出来事と、目盛りの変化を対応させる。
何が分かったか
安定性は中程度。性格特性ほど動かないわけではなく、関係の経験とともに動く。安定した関係が続くと不安・回避の目盛りが下がる方向の報告がある。
どのくらいの強さか
複数の追跡研究。ただし期間も対象もばらつきがあり、変化の大きさは一定していない。

攻略

男性が読む場合

相手の内側で起きていること
相手の不安が高いとき、それは「重い性格」ではなく今の目盛りの位置。安定した関係が続くと下がる方向の報告がある。ただし短期間で動くものではない。
どう活かすか
安心させようとして言葉を増やすより、断っても関係が壊れない形を積み重ねるほうが、モデルとは整合する。ただしこの手順の効果を検証した実験はない。
使える場面
相手の確認が多いと感じるとき。返信を急かされてしんどいと感じたとき。

女性が読む場合

相手の内側で起きていること
自分の不安の目盛りが高いと感じるとき、それは今の状態であって、生まれつきの決定ではない。長期でみると中くらいの安定性で、関係の経験とともに動く。
どう活かすか
「不安型だから恋愛が向いていない」と結論を出さない。不安が上がった場面を記録して、実際に何が起きたかと突き合わせる。
使える場面
診断結果を見て落ち込んだとき。同じ心配を何度も繰り返していると気づいたとき。
この機構自体に性差はほとんど報告されていません。違うのは置かれる状況と、社会的な台本のほうです。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。

議論されている点

「変わる」と「変わらない」のどちらにも寄せて読めてしまう結果です。中程度、というのは歯切れの悪い言い方ですが、それが正確なところです。

また、変化の多くは**関係の経験**に伴って起きています。「意識して変える」ことの効果を直接測った研究とは別物です。自己啓発的な当てはめには注意が要ります。

使っている理論

  • 成人の愛着(発達心理学 / 対人関係研究への応用)— 近くにいる相手との関係で、人が「近づくこと」と「傷つかないこと」をどう調整するかの枠組み。現在は「見捨てられ不安」と「親密さの回避」という2つの連続した次元で測る。
恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。