悩み 47

復縁したあと、うまくいくのか

戻る方法の記事は多い。戻ったあとを追いかけた研究は、ほとんど読まれていない。

結論から言うと

復縁は珍しくない。学生の3分の2、若い成人の半数近くが経験している。ただし平均では、戻った関係のほうが質は低く、別れて戻る回数が増えるほど悪くなる。平均から外れるかどうかは、戻り方ではなく「なぜ戻るか」と関係の状態で分かれそうだ、というところまでが分かっている。

恋愛工学の答え

「冷却期間を置いて価値を上げてから戻せば、前より良い関係になる。」

戻す手順に焦点があり、戻ったあとの関係の質はほぼ扱われません。

研究の答え

戻った関係は平均して質が低く、回数で悪化する。分けているのは戻る理由と、満足度・代替の質。

別れて戻った関係を、一度も別れていない関係と比べた研究があります。

大学生の2つの研究では、戻った関係の人は愛情や理解といった良い点の報告が少なく、意思疎通の問題や不確かさが多いという結果でした。戻った回数が多いほど、悪い点が増えて良い点が減っていました。同棲・既婚の全国代表標本でも、戻った経験のある人は満足度が低く、将来への不確かさが大きく、関係を終わらせにくい制約が多いという関連が出ています。

若い成人792名の調査では、別れて戻るを繰り返している人は、身体的な暴力の報告が約2倍、言葉による暴力が約1.5倍でした。これは因果ではありません。問題のある関係ほど繰り返しやすい、という向きもあり得ます。

では、平均から外れる関係は何が違うのか。戻った理由を聞いた研究では、最も多いのは「気持ちが残っていた」で、別れの意味が分からなかった・他の人と付き合わなかったことが戻る確率を上げていました。聞き取りでは、戻る理由が「他の相手が良くなかった」と「別れたあとに関係の中身が良くなった」の2系統に整理されています。後者だけが、関係が変わったことを含みます。

そして、戻った関係が安定していると本人が感じるかどうかを最もよく分けていたのは、満足度と他の選択肢の質でした。戻り方ではなく、関係の状態です。

出典:戻った関係の比較 Dailey, R. M., Pfiester, Jin, Beck & Clark (2009) Personal Relationships 16(1)/戻る理由 Dailey, R. M., Jin, Pfiester & Beck (2011) J Soc Psychol 151(4)/聞き取り Dailey, R. M., Rossetto, Pfiester & Surra (2009) JSPR 26(4)/安定の条件 Dailey, R. M., Middleton & Green (2012) JSPR 29(1)/全国代表標本 Vennum, Lindstrom, Monk & Adams (2014) JSPR 31(3)/暴力との関連 Halpern-Meekin, Manning, Giordano & Longmore (2013) JMF 75(1)/接触と感情 Sbarra, D. A., & Emery (2005) Personal Relationships 12(2)/SNS閲覧 Marshall, T. C. (2012) Cyberpsychology 15(10)

研究の中身

Dailey, R. M., Pfiester, A., Jin, B., Beck, G., & Clark, G. (2009). On-again/off-again dating relationships: How are they different from other dating relationships? Personal Relationships, 16(1), 23–47.
何をしたか
大学生445名(研究1)と236名(研究2)に、別れて戻った経験と、その関係の良い点・悪い点を尋ね、一度も別れていない関係と比べた。研究1は自由記述、研究2は尺度で測った。
何が分かったか
およそ3分の2が別れて戻った経験を持っていた。戻った関係の人は良い点の報告が少なく、悪い点の報告が多かった。戻った回数が多いほど、その差は大きかった。
どのくらいの強さか
2研究で同じ向き。その後、全国代表標本(Vennum ら 2014)や若い成人の大規模調査(Halpern-Meekin ら 2013)でも同じ向きの関連が報告されている。

議論されている点

すべて横断研究か振り返りによる報告です。 戻ったことが原因で関係の質が下がったのか、質の低い関係ほど別れて戻りやすいのかは、これらの設計では分けられません。

暴力との関連(約2倍)も同じで、因果の向きは分かっていません。ただ、判断の材料としては知っておくべき数字です。

「関係の中身が変わった」という理由で戻った関係が、その後どうなるかを追跡した研究は見当たりません。そこは推測として書いています。

使っている理論

  • 投資モデル(社会心理学 / 相互依存理論の系譜)— 関係を続ける力(コミットメント)は、満足度 + 投資量 − 代替の質 で決まる。コミットメントが高い人は、他の選択肢を無意識に低く評価する(代替の切り下げ)。
  • 相互依存理論(社会心理学 / 社会的交換の系譜)— 人間関係を、得られる結果と比較水準(期待値・代替の質)の関係として記述する枠組み。

参照している研究

恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。