代替の切り下げ
実験・実証・1989年・JPSP
この研究は何をしたか
コミットメントの高い人が、魅力的な代替相手をどう評価するかを調べた。
何が分かったか
コミットメントが高いほど、代替となりうる相手を実際より低く評価した。関係を守る自動的な維持メカニズム。
読むときの注意
「他が魅力的に見える」ことは、この機構が弱まっているサインとして読める。ただし因果の方向の断定には慎重であるべき。
この研究が根拠になっている悩み(7件)
- 恋人がいるのに、他の人が気になる 強い
「他が気になる」は、コミットメントの構成要素が動いたシグナルとして説明できる。 - 我慢は関係にいいのか そこそこ
きつい態度に同じ態度で返さず、落ち着いて応じる人ほど関係の質が高い。ただし測っているのは言い返さない行動であって、不満を飲み込むことではない。 - 「運命の人」がいると思うと、どうなるのか そこそこ
関係についての信じ方(運命か、成長か)が、問題が起きたときの行動と結びついている。 - ここまで来たから、別れられないのか そこそこ
戻らない投資の大きさが、続けるかどうかの判断に入り込む。 - 復縁したあと、うまくいくのか そこそこ
戻った関係は平均して質が低く、回数で悪化する。分けているのは戻る理由と、満足度・代替の質。 - 手に入りにくいほど、欲しくなるのか そこそこ
手に入りにくいものは価値が高く評価される。人に当てはまるかは検証されていない。 - 手をかけた関係ほど、価値が高く見えるのか 強い
自分で手をかけたものの価値評価は上がる。ただし完成した場合に限られる。
関係する理論
同じ話題で参照している研究
- 投資モデルの原典(実証研究・1980)
関係を続ける力は、満足度だけでは決まらない。積み上げた投資と、他の選択肢の魅力の両方が効く。 - 投資モデルのメタ分析(メタ分析・2003)
満足度・投資量・代替の質はいずれもコミットメントと有意に関連し、合わせて分散のおよそ3分の2を説明した。もっとも強いのは満足度。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。 - 知るほど冷める(実験・2007)
情報が増えるほど好意度は下がる傾向が見られた。情報が少ないうちは、似ている点を想像で埋めているためと解釈された。 - 適応行動(実証研究・1991)
仕返しの衝動を抑えて建設的に応じる傾向が高いほど、関係の質が高かった。コミットメントが高い人ほどこの行動を取りやすい。 - 別れて戻った関係は、何が違うか(質問紙研究(2研究)・2009)
およそ3分の2が別れて戻った経験を持っていた。戻った関係の人は、愛情や理解などの良い点の報告が少なく、意思疎通の問題や不確かさなどの悪い点が多かった。戻った回数が多いほど、悪い点が増え良い点が減った。
書誌情報
Johnson, D. J., & Rusbult, C. E. (1989). Resisting temptation: Devaluation of alternative partners as a means of maintaining commitment in close relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 57(6), 967–980.