投資モデルの原典
実証研究・1980年・Journal of Experimental Social Psychology
この研究は何をしたか
相互依存理論に「投資量」を加え、コミットメント=満足度+投資量−代替の質という枠組みを提示・検証した。
何が分かったか
関係を続ける力は、満足度だけでは決まらない。積み上げた投資と、他の選択肢の魅力の両方が効く。
読むときの注意
以後の検証の出発点。効果量の推定はのちのメタ分析(Le & Agnew, 2003)による。
この研究が根拠になっている悩み(7件)
- 恋人がいるのに、他の人が気になる 強い
「他が気になる」は、コミットメントの構成要素が動いたシグナルとして説明できる。 - 我慢は関係にいいのか そこそこ
きつい態度に同じ態度で返さず、落ち着いて応じる人ほど関係の質が高い。ただし測っているのは言い返さない行動であって、不満を飲み込むことではない。 - 冷却期間を置けば、復縁できるのか 弱い
「冷却で価値が上がる」を確かめた研究は見つからない。投資モデルのほうが説明力がある。 - 「運命の人」がいると思うと、どうなるのか そこそこ
関係についての信じ方(運命か、成長か)が、問題が起きたときの行動と結びついている。 - ここまで来たから、別れられないのか そこそこ
戻らない投資の大きさが、続けるかどうかの判断に入り込む。 - 復縁したあと、うまくいくのか そこそこ
戻った関係は平均して質が低く、回数で悪化する。分けているのは戻る理由と、満足度・代替の質。 - 手をかけた関係ほど、価値が高く見えるのか 強い
自分で手をかけたものの価値評価は上がる。ただし完成した場合に限られる。
関係する理論
- 投資モデル(社会心理学 / 相互依存理論の系譜)
関係を続ける力(コミットメント)は、満足度 + 投資量 − 代替の質 で決まる。コミットメントが高い人は、他の選択肢を無意識に低く評価する(代替の切り下げ)。
同じ話題で参照している研究
- 代替の切り下げ(実験・実証・1989)
コミットメントが高いほど、代替となりうる相手を実際より低く評価した。関係を守る自動的な維持メカニズム。 - 投資モデルのメタ分析(メタ分析・2003)
満足度・投資量・代替の質はいずれもコミットメントと有意に関連し、合わせて分散のおよそ3分の2を説明した。もっとも強いのは満足度。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。 - 知るほど冷める(実験・2007)
情報が増えるほど好意度は下がる傾向が見られた。情報が少ないうちは、似ている点を想像で埋めているためと解釈された。 - 適応行動(実証研究・1991)
仕返しの衝動を抑えて建設的に応じる傾向が高いほど、関係の質が高かった。コミットメントが高い人ほどこの行動を取りやすい。 - 別れの予測因のメタ分析(メタ分析・2010)
もっとも強く予測したのはコミットメント・愛情・関係への適応といった内側の変数。人口統計的な属性の予測力は弱かった。
書誌情報
Rusbult, C. E. (1980). Commitment and satisfaction in romantic associations: A test of the investment model. Journal of Experimental Social Psychology, 16(2), 172–186.