失恋のつらさは、思っているほど長く続かない
立ち直れる気がしない。その予測自体が、一定の向きに外れることが分かっています。
人は、悪い出来事のあとつらさが続く期間を、実際より長く見積もります。恋人との破局も研究の対象に含まれています。自分の中で働く立ち直りの仕組みを、予測のときに計算に入れていないためと説明されています。
恋愛工学の答え
上書きによる回復を前提にした運用です。回復すること自体は同じ結論になります。
研究の答え
人は自分の未来の感情を予測するのが下手です。しかも外れ方の向きが決まっています。
悪い出来事のあと、どれくらいの期間つらいままかを予測させ、実際と突き合わせた研究があります。恋人との破局も対象に含まれていました。予測のほうが、実際のつらさより大きく出ます。
理由として挙げられたのは、自分の中に立ち直りを助ける仕組みがあることを、予測のときに忘れている点です。人は出来事の意味を作り変え、慣れ、別のことに注意を向けます。それを勘定に入れずに予測するので、大きすぎる見積もりになります。
外れ方の中身は、破局に絞った研究で分かっています。 69人を9か月追い、破局を報告する2週間前の予測と実測を比べたところ、誤りは「最初の強さ」の見積もり違いだけで説明され、「回復の速さ」の見積もり違いは寄与していませんでした(Eastwick ら, 2008)。
つまり、引いていく速さはだいたい合っている。外していたのは、いちばん痛いときが思ったほど痛くないという部分です。「思ったより早く立ち直る」という言い方は、この結果とは合いません。
「立ち直れる気がしない」という感覚は、予測としては当てになりません。 ただし外れる向きは、多くの人が思っているのとは逆です。
研究の中身
議論されている点
平均としての傾向であり、回復の速さには個人差があります。予測が外れる向きが一定である、というのが結果の形です。
また、これは「つらくない」という話ではありません。予測が長すぎるだけで、つらさそのものは実在します。強く続くときは、読み物ではなく人に頼るほうが確実です。
使っている理論
- インパクト・バイアス(社会心理学 / 感情予測研究)— 悪い出来事のあと、自分がどれくらいの期間つらいままかを、人は実際より長く見積もる。
参照している研究
- Gilbert, D. T., Pinel, E. C., Wilson, T. D., Blumberg, S. J., & Wheatley, T. P. (1998). Immune neglect: A source of durability bias in affective forecasting. Journal of Personality and Social Psychology, 75(3), 617–638.
- Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2008). Sex differences in mate preferences revisited: Do people know what they initially desire in a romantic partner? Journal of Personality and Social Psychology, 94(2), 245–264.