悩み 57

手をかけた関係ほど、価値が高く見えるのか

IKEA効果。ただし条件がひとつあります。完成したときだけ、です。

結論から言うと

自分で手をかけて作ったものを、人は実際より高く評価します。ただし途中で壊した場合や作り終えられなかった場合には、この効果は消えました。

恋愛工学の答え

「相手に手間をかけさせろ。」

相手の投資を積ませる運用です。方向は同じですが、条件の部分が落ちています。

研究の答え

自分で手をかけたものの価値評価は上がる。ただし完成した場合に限られる。

家具の組み立て、折り紙、ブロック。自分で作らせた完成品を、作らなかった人の評価と比べた実験があります。

自分で手をかけたものを、人ははっきり高く評価しました。 素人の作品を、専門家の作品と同じくらいの価値があると見なしていたほどです。しかも、他人も同じように評価するはずだと思っていました。

ここまでは「手をかけたものは可愛い」という実感どおりです。

面白いのは条件のほうです。効果が出たのは完成したときだけでした。 途中で壊した場合や、作り終えられなかった場合には消えています。

つまり手間そのものが価値を生むのではなく、やり遂げたという事実が効いていることになります。サンクコスト効果とは向きが違う点です。あちらは判断の歪みの話、こちらは価値評価が実際に上がる話です。

出典:Norton, Mochon & Ariely (2012)

研究の中身

Norton, M. I., Mochon, D., & Ariely, D. (2012). The IKEA effect: When labor leads to love. Journal of Consumer Psychology, 22(3), 453–460.
何をしたか
家具の組み立て・折り紙・ブロックを自分で作らせ、その完成品への評価を、作らなかった人の評価と比べた。4つの研究から成る。
何が分かったか
自分で手をかけたものを人は高く評価した。素人の作品を専門家の作品と同程度の価値があると見なし、他人も同じように評価すると考えていた。
どのくらいの強さか
効果が出たのは完成した場合に限られ、途中で壊した場合や完成しなかった場合には消えた。

議論されている点

条件のほうが本体の一部です。やり遂げたという事実が効いており、手間そのものが価値を生むわけではありません。途中で終わった場合には効果が消えています。

扱われたのは物の制作であって、関係ではありません。関係の側を直接扱っているのは投資モデルで、そちらでは投資量の多さがコミットメントを高めることが確認されています。

使っている理論

  • IKEA効果(行動経済学 / 価値評価)— 自分で手をかけて作ったものを、人は実際より高く評価する。
  • 投資モデル(社会心理学 / 相互依存理論の系譜)— 関係を続ける力(コミットメント)は、満足度 + 投資量 − 代替の質 で決まる。コミットメントが高い人は、他の選択肢を無意識に低く評価する(代替の切り下げ)。
  • サンクコスト効果(行動経済学 / 意思決定研究)— すでに払って戻らないものの大きさが、この先どうするかの判断に入り込んでしまう効果。

参照している研究

恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。