悩み 41
「運命の人」がいると思うと、どうなるのか
運命だと思うか、育てるものだと思うか。この信じ方の違いが測られている。
結論から言うと
「運命の人がいる」と考える人ほど、問題が起きたときに関係を終わらせやすい傾向が報告されている。「関係は育てるもの」と考える人ほど、うまくいかない時期を乗り越えやすい。
恋愛工学の答え
「合わない相手は早く切って、次の母数を増やせ。」
見極めと回転を重視する運用です。「運命論」と結論だけが似ています。
研究の答え
関係についての信じ方(運命か、成長か)が、問題が起きたときの行動と結びついている。
関係についての考え方は、大きく二つに分けて測られてきました。**「合う相手かどうかは最初から決まっている」(運命)**と、**「関係は努力で育つ」(成長)**です。
運命の側に寄っている人は、**問題が起きたときにそれを「合わなかった証拠」と読み**、関係を終わらせやすい傾向が報告されています。成長の側に寄っている人は、同じ問題を「乗り越える対象」として扱いやすい。
面白いのは、どちらが正しいかではなく、**信じ方そのものが行動を変えている**という点です。
出典:Knee (1998) の関係についての暗黙理論(destiny / growth belief)
研究の中身
Knee, C. R. (1998). Implicit theories of relationships: Assessment and prediction of romantic relationship initiation, coping, and longevity. Journal of Personality and Social Psychology, 74(2), 360–370.
何をしたか
関係についての考え方を「運命(destiny)」と「成長(growth)」の2つの信念として測り、関係の始まり方・問題への対処・続き方との関連を調べた。
何が分かったか
運命の信念が強い人は、問題が起きたときにそれを相性の証拠として読み、関係を終わらせやすかった。成長の信念が強い人は、問題への対処を続けやすかった。
どのくらいの強さか
複数の研究から成る。相関を含むデザイン。
攻略
男性が読む場合
相手の内側で起きていること
相手が問題を「合わなかった証拠」として読んでいるなら、それは相性の判定ではなく、関係についての信じ方が働いている可能性がある。
どう活かすか
「合わないから切る」を早く出しすぎていないか。切ったあとは、その判断が正しかったかを永久に確かめられない。
使える場面
喧嘩のあとに「やっぱり合わない」と言われたとき。自分がそう言いたくなったとき。
女性が読む場合
相手の内側で起きていること
うまくいかない時期を「運命ではなかった」と読むか「育てる途中」と読むかで、次の行動が変わる。信じ方そのものが行動を変えている、という結果がある。
どう活かすか
問題が起きたときに出てくる自分の言葉を一度書き出す。「やっぱり」で始まっていたら、判定に寄っているサイン。
使える場面
揉めた直後。占いや診断で相性を確かめたくなったとき。
この機構自体に性差はほとんど報告されていません。違うのは置かれる状況と、社会的な台本のほうです。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
議論されている点
相関を含むため、「信念が行動を変えた」のか「もともと関係が続きにくい人が運命論を持ちやすい」のかは、この研究だけでは決められません。
また、運命の信念が常に不利というわけでもありません。うまくいっている間は、運命だと思っているほうが満足度が高いという報告もあります。**問題が起きたときに差が出る**、という形の結果です。
使っている理論
- 投資モデル(社会心理学 / 相互依存理論の系譜)— 関係を続ける力(コミットメント)は、満足度 + 投資量 − 代替の質 で決まる。コミットメントが高い人は、他の選択肢を無意識に低く評価する(代替の切り下げ)。
参照している研究
- Rusbult, C. E. (1980). Commitment and satisfaction in romantic associations: A test of the investment model. Journal of Experimental Social Psychology, 16(2), 172–186.
- Johnson, D. J., & Rusbult, C. E. (1989). Resisting temptation: Devaluation of alternative partners as a means of maintaining commitment in close relationships. Journal of Personality and Social Psychology, 57(6), 967–980.
- Le, B., & Agnew, C. R. (2003). Commitment and its theorized determinants: A meta-analysis of the Investment Model. Personal Relationships, 10(1), 37–57.
- Thibaut, J. W., & Kelley, H. H. (1959). The Social Psychology of Groups. Wiley.
- Rusbult, C. E., Verette, J., Whitney, G. A., Slovik, L. F., & Lipkus, I. (1991). Accommodation processes in close relationships: Theory and preliminary empirical evidence. Journal of Personality and Social Psychology, 60(1), 53–78.
- Le, B., Dove, N. L., Agnew, C. R., Korn, M. S., & Mutso, A. A. (2010). Predicting nonmarital romantic relationship dissolution: A meta-analytic synthesis. Personal Relationships, 17(3), 377–390.