知るほど冷める
実験・2007年・JPSP
この研究は何をしたか
相手についての情報量を変えて、好意度がどう変わるかを調べた。オンラインデーティングの実データも用いた。
何が分かったか
情報が増えるほど好意度は下がる傾向が見られた。情報が少ないうちは、似ている点を想像で埋めているためと解釈された。
読むときの注意
2025年に801名を対象とした事前登録の追試(Horsham et al., 2025)が行われ、この効果は再現されなかった。現在、この結果をそのまま根拠にすることはできない。
この研究が置かれている文脈
「知るほど好きになる」という直感に反する結果だったため、発表後に議論を呼び、マッチングアプリで「会ったら冷めた」の説明として広く引かれてきました。2025年のRegistered Reportによる追試で、元の3つの実験(1a・1b・2)のいずれも再現されませんでした。会う前に盛り上がって会うと下がるという経験の報告そのものは否定されていませんが、その理由としてこの研究を引くことは、もうできません。
この研究が根拠になっている悩み(3件)
- 相手を知るほど好きになるのか 弱い
「知るほど好意が下がる」は、2025年の事前登録追試で再現されなかった。上がるという向きも支持されていない。 - 手をかけた関係ほど、価値が高く見えるのか 強い
自分で手をかけたものの価値評価は上がる。ただし完成した場合に限られる。 - 文字のやりとりだけだと、相手を美化するのか そこそこ
文字だけのやりとりは、相手を好ましく感じさせる。2020年の実験で、無作為に割り当てて確かめられている。
関係する理論
同じ話題で参照している研究
- 投資モデルの原典(実証研究・1980)
関係を続ける力は、満足度だけでは決まらない。積み上げた投資と、他の選択肢の魅力の両方が効く。 - 代替の切り下げ(実験・実証・1989)
コミットメントが高いほど、代替となりうる相手を実際より低く評価した。関係を守る自動的な維持メカニズム。 - 投資モデルのメタ分析(メタ分析・2003)
満足度・投資量・代替の質はいずれもコミットメントと有意に関連し、合わせて分散のおよそ3分の2を説明した。もっとも強いのは満足度。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。 - 文字かビデオ通話か(実験(無作為割り当て)・2020)
文字だけで話した相手のほうが、社会的な魅力を高く感じていた。対面に切り替えたあと、社会的な魅力の差は残ったが、恋愛的な魅力は下がった。 - 会う前のやりとりの量(調査・2015)
やりとりの量と、会ったときの親密さ・落ち着き・打ち解け方との関係は逆U字だった。少なすぎても低く、多すぎても低い。
書誌情報
Norton, M. I., Frost, J. H., & Ariely, D. (2007). Less is more: The lure of ambiguity, or why familiarity breeds contempt. Journal of Personality and Social Psychology, 92(1), 97–105.