悩み 38

元恋人のSNSを見続けると、立ち直れないのか

別れたあとも、つい相手のSNSを開いてしまう。それは立ち直りを遅らせるのか。

結論から言うと

見る回数が多い人ほど、苦しさと未練が強く、成長の実感が低かった(464人)。会う時間が多い人も2か月後に苦しかった(122人)。ただし「見るから引きずる」のか「引きずるから見る」のかは、どちらも決められていない。

恋愛工学の答え

「相手の動向はSNSで把握しておけ。復縁の好機を逃すな。」

元恋人の投稿やストーリーを見て、新しい相手の有無や気分を読み、連絡の時機を測る、という運用です。見ることが復縁の確率を上げるかどうかは、確かめられていません。

研究の答え

見る頻度が高い人ほど、苦しさ・未練・欲求が強く、成長の実感が低い。会う時間が多い人は2か月後の苦しさが高い。

464人に、別れた相手のFacebookページと友達リストを見る頻度を聞き、愛着・自尊心・別れ方・経過時間・実際に会っているかをそろえたうえで関連を見た研究があります(Marshall 2012)。見る頻度は、未練(.47)・いまの苦しさ(.39)・相手への欲求(.36)と中くらいの強さで結びつき、成長の実感とは弱く逆向きに結びついていました(−.12)。

意外だったのは、Facebookで友達のままの人のほうが、未練や怒りが低かったことです。著者は「何でもない日常の投稿が残っていた魅力をさます」と解釈していますが、測ったものではありません。

実際に会う時間を録音機で数えた研究(O'Hara ら 2020、離婚・別居後の122人)では、同じ時点では関連が確認されず、会う時間が多かった人は2か月後の苦しさが高くなっていました。子どもがいない人だけに出ています。

どちらも観察で、見る回数や会う時間を変えた実験ではありません。著者自身が「未練がある人ほど見に行く」という逆向きも同じくらいあり得ると書いています。

出典:Marshall, T. C. (2012). Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 15(10), 521–526/O'Hara, K. L., Grinberg, A. M., Tackman, A. M., Mehl, M. R., & Sbarra, D. A. (2020). Clinical Psychological Science, 8(3), 450–463

研究の中身

Marshall, T. C. (2012). Facebook surveillance of former romantic partners: Associations with postbreakup recovery and personal growth. Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 15(10), 521–526.
何をしたか
464人(女性84%、平均21.4歳、87%がアメリカ)に、苦しかった別れを1つ思い出してもらい、別れた相手のFacebookページと友達リストを見る頻度(9段階)、友達のままか、実際に会っているかを聞いた。愛着・自尊心・交際期間・別れ前の気持ち・別れた側・別れ直後の苦痛・経過時間・現在の交際・Facebook友達数をそろえた階層回帰。
何が分かったか
見る頻度は、いまの苦痛 .39、否定感情 .16、欲求 .36、未練 .47 と正の、成長 −.12 と負の標準化係数で結びついた。友達のままの人は否定感情・欲求・未練が低く(−.10〜−.11)、成長も低かった(−.12)。実際に会っている人は苦痛・欲求・未練が高かった(.18〜.21)。
どのくらいの強さか
1時点の自己申告で、因果の向きは決められない(著者が明記)。関連する研究:O'Hara ら (2020) は離婚・別居後の122人を録音機で追い、会う時間が多い人は2か月後の苦痛が高かった(子どもがいない人のみ、b = 123.15)。Marshall (2026) は762人で同じ向きを報告しているが、本文は未確認(要旨のみ)。

議論されている点

見るから引きずるのか、引きずるから見るのか。この設計ではどちらも言えません。別れ直後の苦痛が強い人ほど見る頻度が高い(相関 .23)ので、逆向きも同じくらいあり得ます。見るのをやめさせる実験は、確認できていません。

もう1つ。「見ることが復縁を近づけるか遠ざけるか」を結果にした研究は見つかりませんでした。測られているのは本人の苦しさまでです。

使っている理論

  • 反芻(臨床心理学 / 抑うつ研究)— 同じ悩みを繰り返し考え続ける傾向。落ち込みが強まることや、新たな発症を予測する要因として測定されている(長引くかどうかは、最初の症状をそろえると予測しなかった)。
  • 別れの予測因(関係科学 / 縦断研究の統合)— 恋愛関係の解消をもっとも強く予測するのは、コミットメント・愛情・関係への適応といった内側の変数。
  • 社会的痛み(社会神経科学 / 拒絶研究)— 人から拒絶されたときの反応は、体の痛みの仕組みと一部を共有しているのではないか、という仮説。

参照している研究

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