不安と回避は、関係の別のところに効く
メタ分析(73研究・21,602人)・2012年・European Journal of Social Psychology
この研究は何をしたか
愛着の不安と回避が、恋愛関係の質のどこに結びつくかを、73の研究・21,602人のデータで統合した。
何が分かったか
不安も回避も、どちらも関係の質の低さと関連していた。 ただし効き方が違い、回避が高いほど満足・つながりの感覚・支え合いが低い方向に、不安が高いほど衝突が多い方向に強く関連していた。
読むときの注意
相関の統合で、どちらが先かは決まらない。「回避型だから無理」を示したものではない。
この研究が置かれている文脈
自分や相手が「何型か」より、どちらの目盛りがどれくらい高いかのほうが、困りごとの出方を説明します。
この研究が根拠になっている悩み(4件)
- 吊り橋効果は使えるのか 弱い
原典(Dutton & Aron, 1974)には方法論上の批判が強く、再解析では元の結論が支持されていない。 - 元恋人のSNSを見続けると、立ち直れないのか そこそこ
見る頻度が高い人ほど、苦しさ・未練・欲求が強く、成長の実感が低い。会う時間が多い人は2か月後の苦しさが高い。 - 愛着スタイルで、恋愛のしかたは決まるのか そこそこ
不安と回避という2つの連続した物差しで測るのが標準。タイプの箱ではない。 - 復縁したあと、うまくいくのか そこそこ
戻った関係は平均して質が低く、回数で悪化する。分けているのは戻る理由と、満足度・代替の質。
同じ話題で参照している研究
- リスク調整モデル(レビュー・2006)
相手の好意への確信が高い人は、脅威になりうる出来事を関係の確認に使う。確信が低い人は、同じ出来事を愛情が弱まった証拠として解釈し、先に距離を取る。 - 投資モデルの原典(実証研究・1980)
関係を続ける力は、満足度だけでは決まらない。積み上げた投資と、他の選択肢の魅力の両方が効く。 - 代替の切り下げ(実験・実証・1989)
コミットメントが高いほど、代替となりうる相手を実際より低く評価した。関係を守る自動的な維持メカニズム。 - 投資モデルのメタ分析(メタ分析・2003)
満足度・投資量・代替の質はいずれもコミットメントと有意に関連し、合わせて分散のおよそ3分の2を説明した。もっとも強いのは満足度。 - 吊り橋実験(野外実験・1974)
女性の調査者の場合、吊り橋条件で後日の電話も物語中の性的要素も多かった。男性の調査者では橋による差は出なかった。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。
書誌情報
Li, T., & Chan, D. K.-S. (2012). How anxious and avoidant attachment affect romantic relationship quality differently: A meta-analytic review. European Journal of Social Psychology, 42(4), 406–419.