拒絶と痛みの脳活動
脳画像実験・2003年・Science
この研究は何をしたか
仲間外れにされる場面を実験的に作り、そのときの脳活動を測った。
何が分かったか
体の痛みに関わるとされる領域と重なる活動が見られた。つらさの報告が強い人ほど、その活動も強かった。
読むときの注意
領域が重なることと、同じ経験であることは別です。 ある領域が働いたことから心の状態を逆向きに推定する読み方には、方法論上の批判があります。
この研究が置かれている文脈
「拒絶は本当に痛い」という言い方の出どころです。ただしこの研究が示したのは活動領域の重なりであって、痛みそのものが起きていることではありません。脳の話は説明力があるように聞こえますが、この研究の射程は思われているより狭いので、逆推論への批判と必ずセットで読む必要があります。
この研究が根拠になっている悩み(1件)
- 拒絶されると、本当に「痛い」のか そこそこ
拒絶時の脳活動は、痛みに関わる領域と一部重なる。ただし同じ経験だとは示されていない。
関係する理論
- 社会的痛み(社会神経科学 / 拒絶研究)
人から拒絶されたときの反応は、体の痛みの仕組みと一部を共有しているのではないか、という仮説。
同じ話題で参照している研究
- 失恋と体の痛みの重なり(脳画像実験・2011)
体の感覚に関わる領域に、両方で重なる活動が見られた。先行研究より感覚寄りの領域まで重なっていた。 - 逆推論は成り立つのか(方法論批判・2006)
多くの領域はさまざまな課題で働くため、活動から心の状態を逆向きに当てるのは難しい。推論の確からしさは、その領域がどれだけその働きに特化しているかで決まる。
書誌情報
Eisenberger, N. I., Lieberman, M. D., & Williams, K. D. (2003). Does rejection hurt? An fMRI study of social exclusion. Science, 302(5643), 290–292.