愛着の型と、恋人の行動の読み方
質問紙研究(2研究)・1996年・JPSP
この研究は何をしたか
恋人との関係で起こる仮定の出来事に対して、なぜそうなったかの説明と、自分がどう感じ・どう行動するかを自由記述で書いてもらい、愛着の型ごとに比べた。研究2で再現と関係の質との比較を行った。
何が分かったか
とらわれ型(不安が強い)の人は出来事をより否定的に説明し、強い動揺と衝突につながりやすい行動を報告した。回避型の人も否定的に説明したが、動揺は報告しなかった。行動の差は説明の仕方と動揺によって媒介されていた。
読むときの注意
仮定の場面への反応であり、実際の出来事での解釈を直接測ったものではない。
この研究が根拠になっている悩み(9件)
- 「好き避け」は本当にあるのか 強い
「近づきたい」と「傷つきたくない」が競合し、自己防衛が勝った状態として説明できる。 - 好意がバレると不利になるのか そこそこ
原則は逆。好意が伝わると好意が返りやすい。ただし相手の自己評価によって反転する。 - 返信が遅いのは脈なしか 根拠なし
返信速度と好意の強さを結びつけた研究は見当たらない。 - 相手を美化するのは危険か そこそこ
パートナーを本人の自己評価より良く見ている人のほうが、関係に満足していた。しかも理想化された側の自己評価も上がっていた。 - 打ち明けると好かれるのか 強い
打ち明けることと好かれることの間に、3方向すべてで正の関連がある。開示する人は好かれ、好きな相手には開示し、開示した後は相手をより好きになる。 - 自信は、本当に効くのか そこそこ
自己評価は関係の維持に効く。ただし「フリ」で他の選択肢できる証拠はない。 - 愛着スタイルで、恋愛のしかたは決まるのか そこそこ
不安と回避という2つの連続した物差しで測るのが標準。タイプの箱ではない。 - なぜ「追う側」と「逃げる側」に分かれるのか 弱い
不安が高い側は近づこうとし、回避が高い側は距離を取る。この組み合わせで循環が起きやすいという報告がある。 - 不安型は治せるのか そこそこ
不安の目盛りは動く。動かすのは自分の目標を後押しされる経験で、速さは年単位。
関係する理論
- 自己開示と好意(社会心理学 / 親密性研究)
打ち明けることと好かれることの間に、3方向すべてで正の関連がある。
同じ話題で参照している研究
- リスク調整モデル(レビュー・2006)
相手の好意への確信が高い人は、脅威になりうる出来事を関係の確認に使う。確信が低い人は、同じ出来事を愛情が弱まった証拠として解釈し、先に距離を取る。 - 拒絶感受性(実験(4研究)・1996)
拒絶感受性が高い人ほど、そっけない対応などの曖昧な行動に意図的な拒絶を読み取った。本人もパートナーも関係に不満を抱えやすい。 - 拒絶感受性メタ分析(メタ分析・2023)
拒絶感受性が高い人ほど、自己評価する魅力度が低く、嫉妬が強く、パートナーからの愛情表現を少なく知覚する傾向があった。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。 - 恋愛への愛着理論の適用(実証研究・1987)
恋愛関係にも、安定・不安・回避に対応するパターンが観察されることを示した。以後の成人愛着研究の出発点。 - 認知-感情処理システム(理論・1995)
拒絶感受性のような構成概念は、この枠組みの中に位置づけられる。「性格が弱い」ではなく、特定の状況で起動する処理の癖。
書誌情報
Collins, N. L. (1996). Working models of attachment: Implications for explanation, emotion, and behavior. Journal of Personality and Social Psychology, 71(4), 810–832.