悩み 51
いい出会いは、どこから来るのか
個人の魅力ではなく、経路の話。ここは社会学と人口学の領分です。
結論から言うと
新しい情報や機会は、親しい相手よりたまに会う程度の相手から届きやすい、というのが社会学の古典的な知見です。実際の出会いの経路も大きく変わっており、米国ではオンラインが最大の経路になりました。
恋愛工学の答え
「アプリで数を回せ。出会いの数がすべて。」
経路の効率を重視する運用です。経路が変わったという観測そのものは一致します。
研究の答え
出会いは個人の魅力だけでなく、人間関係の構造と経路の変化に左右される。
社会学に「弱い紐帯の強さ」という知見があります。新しい情報は、親しい相手よりも、たまに会う程度の相手から届きやすいというものです。親しい人同士は同じ情報源を共有しているため、そこから新しいものは入ってきません。
これは転職の経路を調べた研究から出てきた話で、恋愛を検証したものではありません。ただし出会いを、個人の魅力ではなく人間関係の構造の問題として見る視点を与えます。
もう一つ、実際の経路の変化があります。米国の全国標本で、カップルがどこで出会ったかを時代ごとに追った研究では、オンラインで出会う割合が伸び続け、2013年ごろに友人の紹介を上回りました。友人・家族・職場という仲介者を通す経路は、いずれも縮小しています。
つまり「どこで出会えるか」は、本人の努力よりも、経路そのものの変化に大きく動かされてきたことになります。
出典:Granovetter (1973)/Rosenfeld, Thomas & Hausen (2019)
研究の中身
Rosenfeld, M. J., Thomas, R. J., & Hausen, S. (2019). Disintermediating your friends: How online dating in the United States displaces other ways of meeting. Proceedings of the National Academy of Sciences, 116(36), 17753–17758.
何をしたか
米国の全国標本を使い、カップルがどこで出会ったかの経路が時代とともにどう変わったかを追った。
何が分かったか
オンラインで出会う割合が伸び続け、2013年ごろに友人の紹介を上回って最大の経路になった。友人・家族・職場を経由する経路はいずれも縮小していた。
どのくらいの強さか
全国標本の実データ。米国が対象。
議論されている点
米国のデータであり、日本にそのまま当てはまるとは限りません。
また、扱っているのは出会いやすさであって、関係が続きやすいかどうかではありません。経路が変わったことと、その経路で始まった関係の質は別の問題です。
弱い紐帯の研究のほうは、そもそも転職と情報の伝播を扱ったもので、恋愛を検証していません。恋愛への適用は応用です。
使っている理論
参照している研究
- Festinger, L. (1957). A Theory of Cognitive Dissonance. Stanford University Press.
- Schachter, S., & Singer, J. E. (1962). Cognitive, social, and physiological determinants of emotional state. Psychological Review, 69(5), 379–399.
- Festinger, L., Schachter, S., & Back, K. (1950). Social Pressures in Informal Groups: A Study of Human Factors in Housing. Harper.
- Granovetter, M. S. (1973). The strength of weak ties. American Journal of Sociology, 78(6), 1360–1380.
- Rosenfeld, M. J., Thomas, R. J., & Hausen, S. (2019). Disintermediating your friends: How online dating in the United States displaces other ways of meeting. Proceedings of the National Academy of Sciences, 116(36), 17753–17758.