悩み 43

選択肢が多いほど、いい相手に出会えるのか

選べる人数が増えると、選びやすくなるのか。ここは意思決定研究の領分です。

結論から言うと

選択肢が増えすぎると選べなくなり、選んだあとの満足も下がる、という結果が有名です。ただしこの効果は後のメタ分析で平均するとほぼゼロになっており、条件次第と考えるのが正確です。

恋愛工学の答え

「母数を増やせ。試行回数がすべて。」

接触する人数を増やすほど成功数が増える、という運用です。

研究の答え

選択肢の多さが選択を妨げる場合があるが、いつ起きるかは特定されていない。

よく引かれるのは、売り場に並べるジャムを6種類と24種類に変えた実験です。品数が多いほうが人は足を止めましたが、実際に買った人の割合は大きく下がりました。選んだ人の満足度も低くなっています。

この結果は「選択肢は多いほどよい」という前提に反するため、広く知られました。マッチングアプリで会える人数が増えたことと結びつけて語られるのも、この実験が下敷きです。

ただし話はここで終わりません。同じ問いを扱った研究を集めて統合すると、平均的な効果はほぼゼロでした。効果が出る研究と出ない研究があり、どの条件で出るのかは分かっていません。

出典:Iyengar & Lepper (2000)/Scheibehenne, Greifeneder & Todd (2010)

研究の中身

Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995–1006.
何をしたか
売り場に並べる品数を6種類と24種類に変え、足を止めた人の割合・実際に選んだ人の割合・選択後の満足度を比べた。関連する実験を3つ行っている。
何が分かったか
品数が多いほうが人は足を止めたが、実際に選んだ人の割合は大きく下がった。選んだ人の満足度も低かった。
どのくらいの強さか
消費者選択の場面での実験。恋人選びを扱ったものではない。

議論されている点

この効果を扱った研究を集めて統合したメタ分析では、平均的な効果はほぼゼロでした。効果が出る研究と出ない研究があり、どの条件で出るのかは特定されていません。

有名な単発実験と、それを統合したメタ分析が食い違う典型例です。ジャムの実験を単独で根拠にすることはできません。

使っている理論

  • 選択のパラドクス(行動経済学 / 意思決定研究)— 選べるものが増えすぎると、かえって選べなくなり、選んだあとの満足も下がるという効果。
恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。