認知的不協和理論
理論書・1957年・Stanford University Press
この研究は何をしたか
自分の行動と考えが食い違うと不快が生じ、つじつまを合わせる方向に考えのほうが動く、という理論を定式化した。
何が分かったか
社会心理学の基礎理論のひとつ。恋愛に固有の理論ではなく、態度変容の一般理論。
読むときの注意
理論そのものが実証されていることは、個々の応用が実証されていることを意味しない。
この研究が置かれている文脈
発表された当時の社会心理学には、人は自分の中の矛盾を減らす方向に動く、という発想を共有する理論がいくつも並んでいた。その中で最も長く影響を残したのがこの本です。恋愛の文脈では「手間をかけた相手ほど大事に思える」といった形で引かれるが、それは応用であって、この本が検証した内容そのものではありません。
この研究が根拠になっている悩み(3件)
- 押して引くと、相手は好きになるのか 根拠なし
理論は本物。だが「わざと冷たくする→好意が増す」への適用は実証されていない。 - 頼み事をすると、好かれるのか そこそこ
人に何かをしてあげた側のほうが、相手への好意が上がる場合がある。 - 小さなお願いから始めると、大きな頼みが通るのか そこそこ
先の小さな承諾が、あとの大きな承諾の確率を上げる。ただし効果は小さい。
関係する理論
- 認知的不協和(社会心理学 / 認知的一貫性理論)
自分の行動と考えが食い違うと不快になり、つじつまを合わせる方向に考えのほうが動く。恋愛の文脈でよく引かれるのは「努力の正当化」——手に入れるのに苦労したものを高く評価する働き。
同じ話題で参照している研究
- 通過儀礼と集団評価(実験・1959)
重い通過儀礼を経た条件の参加者が、同じ討論をもっとも高く評価した。払ったコストに合わせて評価が動く。 - 頼み事をされた側が相手を好きになる(実験・1969)
実験者から直接頼まれて応じた人が、実験者をもっとも好意的に評価した。第三者を介して頼まれた場合、この差は出なかった。 - ゲイン・ロス効果(実験・1965)
最初から好意的だった相手より、否定から好意へ転じた相手のほうが、より魅力的に評価された。逆に、好意から否定へ転じた相手はもっとも低く評価された。 - フット・イン・ザ・ドア(実験(2研究)・1966)
先に小さな頼みを引き受けた人のほうが、あとの大きな頼みにも応じやすかった。 - フット・イン・ザ・ドアの統合的レビュー(レビュー・統合・1999)
効果は存在するが小さく、条件に強く依存していた。最初の頼みが小さすぎても大きすぎても効かず、複数の異なる過程が絡んでいると結論づけられた。
書誌情報
Festinger, L. (1957). A Theory of Cognitive Dissonance. Stanford University Press.