相性のいい相手は事前に分かるのか
会う前に、相性のいい相手を見つけることはできるのか。
できていない。1万人以上のデータを機械学習にかけても、相手の条件からは当たらなかった。当たったのは「その関係を今どう感じているか」だけ。
恋愛工学の答え
スペックによるスクリーニングを前提にする発想です。マッチングサービスの設計思想とも重なります。
研究の答え
43件の追跡調査をまとめ、機械学習で「関係の質を当てるのは何か」を総当たりで探した研究があります。
もっとも強く効いたのは、相手の条件ではありませんでした。本人がその関係をどう感じているか。続ける気持ち、感謝、満足の3つです。相手側の変数の寄与は小さかった。
マッチングアプリについても同じです。プロフィールの情報から相性を当てられる、という主張を支える証拠は乏しい。大規模なレビューがそう結論しています。
「誰と付き合うか」より「その関係をどう感じているか」のほうが予測力を持つ、というのが現時点の結果です。
初対面の時点でも、同じ形が出ています。 4分ずつ全員と話すスピードデーティング(163名・187名)で、好意を3つに分けた研究があります。本人の分(誰に対しても好意的か)が12〜14%、相手の分(みんなから好かれるか)が23〜26%、組み合わせ固有の分(この2人のあいだにだけ出る分)が31〜36%でした。いちばん大きいのが組み合わせ固有の分です。
そして会う前に答えた100を超える項目を機械学習にかけると、本人の分は4〜18%、相手の分は7〜27%を説明できたのに、組み合わせ固有の分はどの組み合わせでも予測できませんでした。
同じデータを別の角度から見た分析では、事前の回答から計算した「実際に似ていること」は好意を予測せず、会ったあとの「似ていると感じること」のほうが予測していました。
研究の中身
攻略
男性が読む場合
女性が読む場合
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
議論されている点
予測できたのは集団レベルの傾向であって、個別のカップルの将来を当てるものではありません。ここを混同すると「科学的に相性が分かる/分からない」という別の主張になります。
また自己申告のデータが中心なので、測れていない変数(行動、生理指標、環境)に予測力がある可能性は残ります。「相手の属性に予測力がない」ではなく「これまで測ってきた自己申告の属性では予測できなかった」が正確です。
使っている理論
- 関係は予測できるのか(関係科学 / 方法論)— 43の縦断研究を機械学習で統合した結果、関係の質をもっとも強く予測したのは、相手の属性ではなく回答者自身が関係をどう感じているか(コミットメント・感謝・満足)だった。
この話は、図解つきの読み物としても書いています。研究の中身を1本ずつ図にした版です。
noteで読む →参照している研究
- Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2008). Sex differences in mate preferences revisited: Do people know what they initially desire in a romantic partner? Journal of Personality and Social Psychology, 94(2), 245–264.
- Joel, S., Eastwick, P. W., et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality across 43 longitudinal couples studies. PNAS, 117(32), 19061–19071.
- Finkel, E. J., Eastwick, P. W., Karney, B. R., Reis, H. T., & Sprecher, S. (2012). Online dating: A critical analysis from the perspective of psychological science. Psychological Science in the Public Interest, 13(1), 3–66.
- Joel, S., Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2017). Is romantic desire predictable? Machine learning applied to initial romantic attraction. Psychological Science, 28(10), 1478–1489.
- Tidwell, N. D., Eastwick, P. W., & Finkel, E. J. (2013). Perceived, not actual, similarity predicts initial attraction in a live romantic context: Evidence from the speed-dating paradigm. Personal Relationships, 20(2), 199–215.