悩み 06

モテは一本の序列で決まるのか

人の魅力は、1位から順に並ぶ「順位」で決まっているのか。

結論から言うと

決まっていない。近くにいること、似ていること、好意を示されたこと。順位と関係なく効く要素が複数ある。順位表は分かりやすいだけ。

恋愛工学の答え

「モテは社会的地位の序列で決まる。上位に行けば解決する。」

男性の価値を1本の順位の序列として扱い、そこを上げることを戦略の中心に据えます。分かりやすさが最大の強みで、同時に最大の弱点でもあります。

研究の答え

人が惹かれる理由は複数あって、1本の順位にまとめる根拠はない。

昔から確認されている要素は複数あります。見た目の魅力、物理的に近いこと、似ていること、好意を示されること。どれか一つが他を支配するという証拠はありません。

特に近接性と返報性は、序列とほぼ独立に効きます。「同じ場所にいる」「好意を示された」だけで魅力の評価は動く。

序列モデルは説明としては単純ですが、単純さは正しさの証拠ではありません。

出典:対人魅力研究の標準的な知見(近接性・類似性・返報性・身体的魅力)

研究の中身

対人魅力の古典的規定因:Festinger, Schachter & Back (1950) 近接性/Byrne (1971) 類似性/Walster et al. (1966) 身体的魅力
何をしたか
近接性(物理的に近いこと)、身体的魅力、類似性、好意の返報性。それぞれ独立した研究の蓄積があり、単一の実験にまとまってはいない。
何が分かったか
どの要因も魅力の評価を動かす。特に近接性と返報性は、社会的な地位や序列とほぼ独立に効く。
どのくらいの強さか
要因ごとに効果量は異なる。一つの要因が他を支配するという推定はない。

攻略

男性が読む場合

相手の内側で起きていること
相手の魅力の評価は、一本の序列では動いていない。近接性・類似性・好意の返報性・身体的魅力が、それぞれ独立に効いている。特に近接性と返報性は、社会的な地位とほぼ無関係に効く。
どう活かすか
序列を上げる努力だけに投じると、効きやすい変数を取りこぼす。同じ場所に居続けること、好意を伝えること、共通点を作ること。地位より安く、効果が確認されている手が複数ある。
使える場面
スペックで勝てないと感じたとき。何を磨くべきか迷ったとき。マッチングアプリで戦えないと感じたとき。

女性が読む場合

相手の内側で起きていること
相手があなたに惹かれる理由も、同じく複数の要因で決まっている。「条件が良いから選ばれた/選ばれない」という一次元の説明は、実際の規定因の一部しか見ていない。
どう活かすか
自分を一次元で採点する枠組みから降りる材料になる。相手を序列で見る枠組みは、そのまま自分に返ってくる。効いている要因が複数あるということは、動かせる場所も複数あるということ。
使える場面
自分に自信が持てないとき。条件で比較されていると感じたとき。相手を条件で選ぶべきか迷ったとき。
この機構自体に性差はほとんど報告されていません。違うのは置かれる状況と、社会的な台本のほうです。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。

議論されている点

「モテは一本の序列で決まる」という説明を直接反証した研究がある、という書き方はできません。正確には、そう主張する側に裏づけがない、という状態です。

複数の規定因が確認されていることと、序列モデルが誤りであることは、厳密には別の主張です。ここでは「単一序列を支持する証拠がない」までを判定としています。

使っている理論

  • 単純接触効果(社会心理学と認知心理学の境界 / 感情研究)— 繰り返し接触するだけで、対象への好意度が上がる。
恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。