悩み 52
ひとりでいるのは、体に悪いのか
つながりと健康の関係。ただし、恋人の有無の話ではありません。
結論から言うと
社会的なつながりが強い人ほど、その後の生存の見込みが高いという関連が、148研究・308,849名の統合で報告されています。ただしつながりの中身は友人・家族・地域を含み、恋愛関係に限りません。
恋愛工学の答え
「恋人がいない状態は不利。早く作れ。」
交際状態を前提にした運用です。この知見は、その根拠にはなりません。
研究の答え
社会的なつながりの強さと、その後の生存には一貫した関連がある。
社会的なつながりと健康の関係は、1970年代の疫学調査から一貫して報告されてきました。それを統合したのが、148研究・308,849名を集めたメタ分析です。
つながりが強い人は、生存する見込みが約50%高いという結果でした。この差の大きさは、喫煙など確立した危険因子と並ぶ水準だと述べられています。
ここで大事なのは、何が測られたかです。
測られたのは社会的なつながり全般で、友人・家族・地域とのつながりを含みます。恋愛関係に限った話ではありません。 つまりこの研究は「恋人がいないと寿命が縮む」とは言っていません。そう読むのは、対象の取り違えです。
この知見を交際をすすめる根拠に使う議論を見かけたら、そこは疑ってよい箇所です。
出典:Holt-Lunstad, Smith & Layton (2010)
研究の中身
Holt-Lunstad, J., Smith, T. B., & Layton, J. B. (2010). Social relationships and mortality risk: A meta-analytic review. PLoS Medicine, 7(7), e1000316.
何をしたか
社会的なつながりの程度と、その後の生存を追った研究を集めて統合した。148研究・308,849名。
何が分かったか
つながりが強い人は、生存する見込みが約50%高かった。この差の大きさは、喫煙など確立した危険因子と並ぶ水準だった。
どのくらいの強さか
この領域で最大級の統合規模。
議論されている点
観察研究の統合であり、因果を確定するものではありません。 つながりが健康を守るのか、健康な人がつながりを保ちやすいのかは、これだけでは分けられません。
そしてより重要なのは対象の範囲です。測られたのは友人・家族・地域を含むつながり全般で、恋愛関係に限りません。この知見を「だから恋人を作るべきだ」の根拠に使うのは取り違えです。恋愛以外のつながりも同じ枠に入っています。
使っている理論
- 社会的つながりと寿命(健康心理学 / 疫学)— 人とのつながりが強い人ほど、その後の生存の見込みが高いという関連。
- 所属欲求(社会心理学 / 動機づけ研究)— 人は継続的で良質な対人関係を求める基本的な動機を持つ、という仮説。
参照している研究
- Le, B., & Agnew, C. R. (2003). Commitment and its theorized determinants: A meta-analysis of the Investment Model. Personal Relationships, 10(1), 37–57.
- Baumeister, R. F., & Leary, M. R. (1995). The need to belong: Desire for interpersonal attachments as a fundamental human motivation. Psychological Bulletin, 117(3), 497–529.
- Baumeister, R. F., Bratslavsky, E., Finkenauer, C., & Vohs, K. D. (2001). Bad is stronger than good. Review of General Psychology, 5(4), 323–370.
- Le, B., Dove, N. L., Agnew, C. R., Korn, M. S., & Mutso, A. A. (2010). Predicting nonmarital romantic relationship dissolution: A meta-analytic synthesis. Personal Relationships, 17(3), 377–390.
- Holt-Lunstad, J., Smith, T. B., & Layton, J. B. (2010). Social relationships and mortality risk: A meta-analytic review. PLoS Medicine, 7(7), e1000316.