関係の質を何が予測するか
機械学習・大規模統合・2020年・PNAS
この研究は何をしたか
43の縦断的なカップル研究のデータを統合し、機械学習で関係の質を予測する変数を網羅的に探した。
何が分かったか
もっとも強く効いたのは、相手の属性ではなく、回答者自身がその関係をどう感じているか(コミットメント、感謝、満足)だった。相手側の変数の寄与は小さかった。
読むときの注意
自己申告データの統合。予測できたのは集団レベルの傾向で、個別のカップルの将来を当てるものではない。
この研究が根拠になっている悩み(3件)
- 相性のいい相手は事前に分かるのか 弱い
相手の属性から相性を予測する試みは、うまくいっていない。効いていたのは「その関係をどう感じているか」のほう。 - 理想のタイプを決めておくべきか 弱い
事前に申告した理想は、実際の魅力判断をほとんど予測しない。 - 「37%を見送ってから決めろ」は正しいのか 弱い
37%という数字は厳密な条件下での最適解であり、恋愛はその条件を満たしていない。
関係する理論
- 関係は予測できるのか(関係科学 / 方法論)
43の縦断研究を機械学習で統合した結果、関係の質をもっとも強く予測したのは、相手の属性ではなく回答者自身が関係をどう感じているか(コミットメント・感謝・満足)だった。
同じ話題で参照している研究
- 離婚予測の交差検証問題(方法論批判・2001)
交差検証を行うと、精度と予測的中率が大きく低下する。報告されていた80〜90%台は、結果を知った後の当てはめによる部分が大きい。 - 配偶者選好の37文化比較(国際比較調査・1989)
資源や若さに関する選好で、文化を越えて一貫した平均差が見られた。 - 理想と実際のズレ(実証研究・2008)
事前に申告した理想は、実際の魅力の判断をほとんど予測しなかった。申告された性差は、実際の選択には現れにくい。 - オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。 - 初対面の好意は予測できるか(実証研究(機械学習)・2017)
好意を3つに分けると、本人の分が12〜14%、相手の分が23〜26%、組み合わせ固有の分が31〜36%で、組み合わせ固有の分がいちばん大きかった。機械学習は本人の分を4〜18%、相手の分を7〜27%説明したが、組み合わせ固有の分はどの組み合わせでも予測できなかった。 - 似ていることと初対面の好意(実証研究・2013)
実際に似ていることは好意を予測しなかった。似ていると感じることは予測した。ただし特定の項目ごとに測った知覚された類似性は、全体的な印象として測ったものより、はるかに弱い予測しかしなかった。
書誌情報
Joel, S., Eastwick, P. W., et al. (2020). Machine learning uncovers the most robust self-report predictors of relationship quality across 43 longitudinal couples studies. PNAS, 117(32), 19061–19071.