見たと認識できない図形でも、好みが生まれた
実験・1980年・Science
この研究は何をしたか
図形を、見たと分からないほど劣化させた条件で繰り返し提示し、あとで「見たことがあるか」と「どちらが好きか」を別々に聞いた。
何が分かったか
見たかどうかは当てられないのに、繰り返し提示された図形のほうを好んでいた。著者は「認識が妨げられるほど劣化した提示でも、好みは生じる」と書いている。
読むときの注意
刺激は幾何学的な図形。人への好意で同じことが起きるかは、この研究では分からない。
この研究が置かれている文脈
「潜在意識に働きかける」という言い方の、研究で確かめられている本物の部分がこれです。ただし起きているのは「気づかないうちに、見慣れたものを好む」までで、記憶を埋め込むことではありません。
この研究が根拠になっている悩み(2件)
- 会う回数を増やせば好かれるのか 強い
単純接触効果はしっかりしている。ただし上限があり、増やし続けると頭打ちか下降に転じる。退屈しやすい人には出にくい。 - モテは一本の序列で決まるのか 弱い
人が惹かれる理由は複数あって、1本の順位にまとめる根拠はない。
関係する理論
- 単純接触効果(社会心理学と認知心理学の境界 / 感情研究)
繰り返し接触するだけで、対象への好意度が上がる。
同じ話題で参照している研究
- 単純接触効果の原典(実験・1968)
接触の反復それ自体が好意を生む。理由づけや報酬を必要としない。 - 単純接触のメタ分析(メタ分析・1989)
効果量 r = .26。研究全体で、提示時間が短いほど効果が大きかった。意識できないほど短い(閾下の)提示のほうが、はっきり認識できる提示より効果がかなり強かった(Bornstein ら, 1990 の要約による)。 - 情動の二要因理論(実験・1962)
同じ興奮でも、それをどう解釈するかで感じる情動が変わる。吊り橋実験はこの理論の応用として設計された。 - 類似性のメタ分析(メタ分析・2008)
実際の類似性 r = .47、知覚された類似性 r = .39。ただし実際の類似性は既存の関係では有意にならず、知覚された類似性は全段階で効いた。 - 近接性と友人形成(現地調査・1950)
物理的な近さ(同じ階、階段の近く)が、友人関係の形成をよく予測した。 - 類似性と魅力(研究書・1971)
類似性-魅力効果を、対人魅力研究の中心的な現象として確立した。
書誌情報
Kunst-Wilson, W. R., & Zajonc, R. B. (1980). Affective discrimination of stimuli that cannot be recognized. Science, 207(4430), 557–558.