悩み 05
会う回数を増やせば好かれるのか
会う回数を増やせば、好きになってもらえるのか。
結論から言うと
増える。研究がしっかりある数少ない項目。ただし9〜10回で頭打ちになり、それ以上増やすと逆に下がる。
恋愛工学の答え
「接触回数を増やせ。会えば会うほど好意は上がる。」
アプローチ数と接触頻度を最重要変数に置く考え方。恋愛工学の実践論の中核です。
研究の答え
単純接触効果はしっかりしている。ただし9〜10回程度で頭打ちになり、過剰だと逆に下がる。
Bornstein (1989) が208の実験をまとめたメタ分析で、効果量 r = .26。心理学の知見としてはかなりしっかりしているな部類です。
ただし条件が2つ。ひとつは、9〜10回程度の接触で効果が頭打ちになること。もうひとつは、それ以上繰り返すと好意がむしろ下がりうること(曲がったUの字を描く)。
「増やせば増やすほど良い」ではありません。上限のある効果を、上限なしと読み替えたのが恋愛工学側の誤りです。
出典:Bornstein (1989) 208実験のメタ分析 / Zajonc (1968)
研究の中身
Bornstein, R. F. (1989). Exposure and affect: Overview and meta-analysis of research, 1968–1987. Psychological Bulletin, 106(2), 265–289.
何をしたか
1968年から1987年までの208の実験を統合。刺激の種類、提示回数、提示時間、参加者の年齢など、効果の大きさを左右する条件も同時に検討した。
何が分かったか
効果量 r = .26。提示回数が9〜10回あたりで頭打ちになり、それ以上繰り返すと好意がむしろ下がる場合がある。
どのくらいの強さか
意識に上らない提示(サブリミナル)のほうが、意識的な提示より効果が大きかった。
攻略
男性が読む場合
相手の内側で起きていること
接触の反復それ自体が好意を上げる。ただし9〜10回あたりで頭打ちになり、それを超えると下がりうる。相手の中で起きているのは、理由づけを伴わない慣れ。だから「何度も会っているのに進展しない」は失敗ではなく上限。
どう活かすか
同じ相手への接触回数を増やす戦略には天井がある。回数で押すのは初期だけ有効。上限に達したら、回数ではなく場面の質を変える。母数を増やす戦略の根拠にはなるが、一人への押しの根拠にはならない。
使える場面
同じ職場・サークルで顔を合わせる相手がいるとき。何度も会っているのに関係が変わらないとき。頻繁に連絡しているのに距離が縮まらないとき。
女性が読む場合
相手の内側で起きていること
「なんとなく気になる」の正体が、単純接触である場合がある。よく見る相手を好ましく感じるのは、その人の性質ではなく提示回数の効果かもしれない。逆に、相手があなたを好ましく思う理由も同じでありうる。
どう活かすか
回数以外の理由を挙げられるかで切り分ける。挙げられないなら、判断を急がず接触の条件を変えてみる。場所や状況を変えても同じ印象なら、回数の効果ではない可能性が上がる。
使える場面
毎日会う相手を好きになったと感じたとき。職場恋愛の判断を迷っているとき。何度も連絡してくる相手を、断るか受けるか決めかねているとき。
この機構自体に性差はほとんど報告されていません。違うのは置かれる状況と、社会的な台本のほうです。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
議論されている点
実験の多くは、写真や図形や単語といった刺激への好意度を測ったものです。生身の人間との反復接触にそのまま外挿できるかは別の問題。
実際、相手の振る舞いが不快な場合は、接触が増えるほど評価が下がることも知られています。「会えば好かれる」ではなく「中身が中立以上なら、回数は効く」と読むのが妥当です。
使っている理論
- 単純接触効果(社会心理学と認知心理学の境界 / 感情研究)— 繰り返し接触するだけで、対象への好意度が上がる。