配偶者選好の37文化比較
国際比較調査・1989年・Behavioral and Brain Sciences
この研究は何をしたか
37の文化圏で、パートナーに求める条件を回答させ、性差の一貫性を検討した。
何が分かったか
資源や若さに関する選好で、文化を越えて一貫した平均差が見られた。
読むときの注意
自己申告の「理想」であって実際の選択ではない。効果量や、実際の行動との一致は別の研究で問われている(Eastwick & Finkel, 2008 を参照)。
この研究が根拠になっている悩み(3件)
- 理想のタイプを決めておくべきか 弱い
事前に申告した理想は、実際の魅力判断をほとんど予測しない。 - 「男が追う、女が待つ」はどこから来たのか そこそこ
行動の男女差の多くは、それぞれが置かれた社会的な役割と、そこで期待される振る舞いから説明できる。 - 男女は根本的に違うのか 弱い
平均の差はあるが小さく、国による差のほうが大きい。脳の性差を根拠にした説明は裏づけが弱い。
関係する理論
- 配偶者選好(進化心理学 / その批判的検証)
パートナーに求める条件と、その性差をめぐる研究群。
同じ話題で参照している研究
- 理想と実際のズレ(実証研究・2008)
事前に申告した理想は、実際の魅力の判断をほとんど予測しなかった。申告された性差は、実際の選択には現れにくい。 - 関係の質を何が予測するか(機械学習・大規模統合・2020)
もっとも強く効いたのは、相手の属性ではなく、回答者自身がその関係をどう感じているか(コミットメント、感謝、満足)だった。相手側の変数の寄与は小さかった。 - オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。 - 初対面の好意は予測できるか(実証研究(機械学習)・2017)
好意を3つに分けると、本人の分が12〜14%、相手の分が23〜26%、組み合わせ固有の分が31〜36%で、組み合わせ固有の分がいちばん大きかった。機械学習は本人の分を4〜18%、相手の分を7〜27%説明したが、組み合わせ固有の分はどの組み合わせでも予測できなかった。 - 社会的役割理論(理論・レビュー・1999)
多くの性差は、男女が占める社会的役割と、そこで期待される振る舞いから説明できる。役割配置が変われば性差の大きさも変わる。 - 性差の効果量を統合する(メタ統合・2015)
平均的な性差は小さかった。 項目ごとのばらつきはあるが、全体としては差より共通点のほうが大きい、という結論になった。
書誌情報
Buss, D. M. (1989). Sex differences in human mate preferences: Evolutionary hypotheses tested in 37 cultures. Behavioral and Brain Sciences, 12(1), 1–49.