退屈しやすい人には、単純接触効果が出なかった
実験(3本)・1990年・Journal of Personality and Social Psychology
この研究は何をしたか
単純接触効果に上限があるのは退屈のせいか、を3つの実験で調べた。実験1では、退屈しやすさの尺度で参加者を2群に分けた。実験2・3では、単純な図形と複雑な線画(錯視図)で、提示回数を変えて好意を比べた。
何が分かったか
退屈しにくい人には接触効果が出たが、退屈しやすい人には全く出なかった(実験1)。複雑な線画(錯視図)のほうが、単純な図形より効果がはっきり強かった(実験2・3)。単純な図形は回数とともに下がり続け、複雑な線画は上がってから下がる逆U字だった。著者は「退屈が単純接触効果の上限条件である」と結論している。
読むときの注意
刺激は図形や線画で、人ではない。参加者は大学生。
この研究が置かれている文脈
序論で、それ以前の実験室研究では10〜20回ほどの提示で好意が横ばいになるか下がり始めることがよく報告されている、とまとめています。また Bornstein (1989) のメタ分析で、意識できないほど短い(閾下の)提示のほうが、はっきり認識できる提示より効果がかなり強かったことにも触れています。
この研究が根拠になっている悩み(2件)
- 会う回数を増やせば好かれるのか 強い
単純接触効果はしっかりしている。ただし上限があり、増やし続けると頭打ちか下降に転じる。退屈しやすい人には出にくい。 - モテは一本の序列で決まるのか 弱い
人が惹かれる理由は複数あって、1本の順位にまとめる根拠はない。
関係する理論
- 単純接触効果(社会心理学と認知心理学の境界 / 感情研究)
繰り返し接触するだけで、対象への好意度が上がる。
同じ話題で参照している研究
- 単純接触効果の原典(実験・1968)
接触の反復それ自体が好意を生む。理由づけや報酬を必要としない。 - 単純接触のメタ分析(メタ分析・1989)
効果量 r = .26。研究全体で、提示時間が短いほど効果が大きかった。意識できないほど短い(閾下の)提示のほうが、はっきり認識できる提示より効果がかなり強かった(Bornstein ら, 1990 の要約による)。 - 情動の二要因理論(実験・1962)
同じ興奮でも、それをどう解釈するかで感じる情動が変わる。吊り橋実験はこの理論の応用として設計された。 - 類似性のメタ分析(メタ分析・2008)
実際の類似性 r = .47、知覚された類似性 r = .39。ただし実際の類似性は既存の関係では有意にならず、知覚された類似性は全段階で効いた。 - 近接性と友人形成(現地調査・1950)
物理的な近さ(同じ階、階段の近く)が、友人関係の形成をよく予測した。 - 類似性と魅力(研究書・1971)
類似性-魅力効果を、対人魅力研究の中心的な現象として確立した。
書誌情報
Bornstein, R. F., Kale, A. R., & Cornell, K. R. (1990). Boredom as a limiting condition on the mere exposure effect. Journal of Personality and Social Psychology, 58(5), 791–800.