選択のパラドクス

Choice overload · 行動経済学 / 意思決定研究

何を言っている理論か

選べるものが増えすぎると、かえって選べなくなり、選んだあとの満足も下がるという効果。

心理学のどこにあるか

選択肢は多いほど望ましい、という経済学の前提に反する結果として注目された。行動経済学が心理学の実験を経済学の前提にぶつけていった時期の代表例のひとつです。恋愛では、マッチングアプリで会える人数が増えたことと結びつけて語られます。

研究の性質と注意

有名なジャムの実験がある一方で、2010年のメタ分析では平均効果はほぼゼロだった。条件によって出たり出なかったりする効果と見るのが現状に近い。恋愛場面での直接の検証はまだ薄い。

この理論の主要な研究(4本)

  • 投資モデルのメタ分析(メタ分析・2003)
    満足度・投資量・代替の質はいずれもコミットメントと有意に関連し、合わせて分散のおよそ3分の2を説明した。もっとも強いのは満足度。
    Le, B., & Agnew, C. R. (2003). Commitment and its theorized determinants: A meta-analysis of the Investment Model. Personal Relationships, 10(1), 37–57.
  • 別れの予測因のメタ分析(メタ分析・2010)
    もっとも強く予測したのはコミットメント・愛情・関係への適応といった内側の変数。人口統計的な属性の予測力は弱かった。
    Le, B., Dove, N. L., Agnew, C. R., Korn, M. S., & Mutso, A. A. (2010). Predicting nonmarital romantic relationship dissolution: A meta-analytic synthesis. Personal Relationships, 17(3), 377–390.
  • 選択肢が多すぎると選べない(実験(3研究)・2000)
    品数が多いほうが人は足を止めたが、実際に選んだ人の割合は大きく下がった。選んだ人の満足度も下がっていた。
    Iyengar, S. S., & Lepper, M. R. (2000). When choice is demotivating: Can one desire too much of a good thing? Journal of Personality and Social Psychology, 79(6), 995–1006.
  • 選択肢過多のメタ分析(メタ分析・2010)
    全体を統合すると、平均的な効果はほぼゼロだった。効果が出る研究と出ない研究があり、どの条件で出るかは特定できていない。
    Scheibehenne, B., Greifeneder, R., & Todd, P. M. (2010). Can there ever be too many options? A meta-analytic review of choice overload. Journal of Consumer Research, 37(3), 409–425.

この理論を使っている悩み(1件)

恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
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