追う・逃げるの型と、関係・やりとりの結果
メタ分析(74研究・14,255人)・2014年・Communication Monographs
この研究は何をしたか
一方が話し合いや変化を求め、もう一方が避けて引く「要求−引きこもり(demand–withdraw)」の型について、74の研究・のべ14,255人のデータを統合し、個人・関係・やりとりの結果との関連を調べた。
何が分かったか
全体で r = .360(中くらいの強さ)。困難を抱えた集団を含む研究では r = .413、それ以外では r = .345。妻が求め夫が引く型(r = .380)と、夫が求め妻が引く型(r = .392)で、関連の強さはほとんど変わらなかった。結果の種類別では、関係(r = .423)とやりとり(r = .418)が、属性(r = .239)や心の健康(r = .249)より強かった(要旨で確認。OpenAlex 経由)。
読むときの注意
横断の研究が中心で、型が関係を悪くしたのか、悪い関係で型が出るのかは決まらない。「追うのをやめれば相手が戻る」を測ったものではない。男女で追う頻度が同じという意味でもない。
この研究が置かれている文脈
「追った時点で負け」「女が追い、男が逃げる」という語り方に、この数字は根拠を与えません。分かっているのは、どちらが追う側でも、この型と関係の結果が結びついている、というところまでです。
この研究が根拠になっている悩み(1件)
- なぜ「追う側」と「逃げる側」に分かれるのか 弱い
不安が高い側は近づこうとし、回避が高い側は距離を取る。この組み合わせで循環が起きやすいという報告がある。
同じ話題で参照している研究
- リスク調整モデル(レビュー・2006)
相手の好意への確信が高い人は、脅威になりうる出来事を関係の確認に使う。確信が低い人は、同じ出来事を愛情が弱まった証拠として解釈し、先に距離を取る。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。 - 恋愛への愛着理論の適用(実証研究・1987)
恋愛関係にも、安定・不安・回避に対応するパターンが観察されることを示した。以後の成人愛着研究の出発点。 - 愛着の4分類モデル(実証研究・1991)
回避には2種類ある。人を必要としない拒絶回避型と、近づきたいが怖い恐れ回避型は、行動は似ていても内側が違う。 - ポジティブ幻想(縦断研究・1996)
パートナーを実際より良く見ている人のほうが、関係に満足していた。しかも理想化された側の自己評価も上がっていた。 - 愛着の型と、恋人の行動の読み方(質問紙研究(2研究)・1996)
とらわれ型(不安が強い)の人は出来事をより否定的に説明し、強い動揺と衝突につながりやすい行動を報告した。回避型の人も否定的に説明したが、動揺は報告しなかった。行動の差は説明の仕方と動揺によって媒介されていた。
書誌情報
Schrodt, P., Witt, P. L., & Shimkowski, J. R. (2014). A meta-analytical review of the demand/withdraw pattern of interaction and its associations with individual, relational, and communicative outcomes. Communication Monographs, 81(1), 28–58.