カップル療法で愛着は動くか

治療研究(セッションごとの測定)・2016年・JMFT

この研究は何をしたか

32組のカップルに感情焦点化カップル療法を行い、関係に対する愛着の不安と回避をセッションごとに測り、治療前後の愛着行動の変化も調べた。

何が分かったか

回避は全体で下がった。不安は「責める側が柔らかくなる」という節目を通過したカップルで下がった。セッションごとの不安・回避の低下は、満足度の上昇と関連していた。

読むときの注意

32組の小規模研究で、比較群はない。関係に対する愛着であり、全般的な愛着スタイルの変化とは区別される。

この研究が根拠になっている悩み(1件)

  • 不安型は治せるのか そこそこ
    不安の目盛りは動く。動かすのは自分の目標を後押しされる経験で、速さは年単位。

同じ話題で参照している研究

  • 恋愛への愛着理論の適用(実証研究・1987)
    恋愛関係にも、安定・不安・回避に対応するパターンが観察されることを示した。以後の成人愛着研究の出発点。
  • オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
    出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。
  • 愛着の4分類モデル(実証研究・1991)
    回避には2種類ある。人を必要としない拒絶回避型と、近づきたいが怖い恐れ回避型は、行動は似ていても内側が違う。
  • 適応行動(実証研究・1991)
    仕返しの衝動を抑えて建設的に応じる傾向が高いほど、関係の質が高かった。コミットメントが高い人ほどこの行動を取りやすい。
  • ミケランジェロ現象(実証研究・1999)
    相手の理想の自己を肯定するように扱われた人は、実際にその方向へ変化し、関係の質も高かった。相手を彫り出す、という比喩からミケランジェロ現象と呼ばれる。
  • 成人愛着はどこまで変わるか(長期追跡(2標本)・2011)
    観測されたのは、変動の下に安定した因子があるプロトタイプ型のパターンだった。日々は揺れるが、戻っていく基準点がある。

書誌情報

Burgess Moser, M., Johnson, S. M., Dalgleish, T. L., Lafontaine, M.-F., Wiebe, S. A., & Tasca, G. A. (2016). Changes in relationship-specific attachment in emotionally focused couple therapy. Journal of Marital and Family Therapy, 42(2), 231–245.
恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。