成人愛着はどこまで変わるか
長期追跡(2標本)・2011年・JPSP
この研究は何をしたか
1つ目の標本203名を30日間毎日、2つ目の標本388名を1年間毎週追跡し、愛着の測定値がどう動くかを2つのモデルで比べた。
何が分かったか
観測されたのは、変動の下に安定した因子があるプロトタイプ型のパターンだった。日々は揺れるが、戻っていく基準点がある。
読むときの注意
「変わらない」ではない。短期の変動は実際に大きく、基準点そのものが動く可能性も否定されていない。ビッグファイブの安定性では説明できなかった点も重要。
この研究が根拠になっている悩み(6件)
- 愛着スタイルで、恋愛のしかたは決まるのか そこそこ
不安と回避という2つの連続した物差しで測るのが標準。タイプの箱ではない。 - 「不安型」「回避型」は、変えられるのか そこそこ
愛着の目盛りは中程度に安定しているが、固定ではない。関係の経験とともに動く。 - 不安型は治せるのか そこそこ
不安の目盛りは動く。動かすのは自分の目標を後押しされる経験で、速さは年単位。 - 回避型は、幼少期に作られるのか 弱い
幼いころの養育と大人の回避の関連は小さい。その後の友人関係や人づき合いの変化のほうが結びついていた。 - 回避型は、沈黙の間も記憶を整理しているのか 根拠なし
沈黙中の脳は測られていない。近い実験は、見知らぬ人の話の記憶を測ったもので、恋人の記憶ではない。 - 不安型は、親との関係で作られるのか 根拠なし
母親の関わり方そのものは関連しなかった。親に関わる要因との小さな関連はあった。
同じ話題で参照している研究
- リスク調整モデル(レビュー・2006)
相手の好意への確信が高い人は、脅威になりうる出来事を関係の確認に使う。確信が低い人は、同じ出来事を愛情が弱まった証拠として解釈し、先に距離を取る。 - 相互依存理論(理論書・1959)
投資モデルの「満足度」と「代替の質」はここから直接引き継がれている。 - 恋愛への愛着理論の適用(実証研究・1987)
恋愛関係にも、安定・不安・回避に対応するパターンが観察されることを示した。以後の成人愛着研究の出発点。 - オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。 - 名字の五十音順で席が近い人ほど、友人に選ばれていた(現地調査(44人)・1974)
近さが友人の選択に与える効果は、それまでの研究で好意の決め手とされてきた多くの特徴の効果より強かった。 著者は名字の順番を「控えめな」近さの指標だとしている(実際の近さより粗い測り方なので、効果を小さめに見積もる方向)。 - 愛着の4分類モデル(実証研究・1991)
回避には2種類ある。人を必要としない拒絶回避型と、近づきたいが怖い恐れ回避型は、行動は似ていても内側が違う。
書誌情報
Fraley, R. C., Vicary, A. M., Brumbaugh, C. C., & Roisman, G. I. (2011). Patterns of stability in adult attachment: An empirical test of two models of continuity and change. Journal of Personality and Social Psychology, 101(5), 974–992.