恋は3年で冷めるのか
「ドーパミンは3年で切れる」。この言い方を、どこかで聞いたことがあると思う。
3年という数字に直接の裏づけはない。情熱的な愛が平均として下がるのは本当。ただし長期の関係でも情熱を保っている人がいることが、メタ分析で示されている。
恋愛工学の答え
期限つきの資源として扱う発想です。冷める前提で回転させる、という運用で語られます。
研究の答え
まず「ドーパミンが3年で切れる」を直接測った研究は、見つけられませんでした。人類学者による仮説が、数字だけ独り歩きしたものです。
実際に測られているのはこうです。情熱的な愛(passionate love)は平均すると時間とともに下がる。一方で仲間的な愛(companionate love)は保たれやすい。
さらに重要なのは、長期の関係を対象にしたメタ分析で、長く続いた関係でも情熱的な愛を高く保っている人が一定数いたことです。平均が下がることと、全員が下がることは違います。
研究の中身
攻略
男性が読む場合
女性が読む場合
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
議論されている点
「3年」「4年」という数字を直接測った研究は、見つけられませんでした。 離婚の統計と進化的な仮説から組み立てられた説明が、数字だけ独り歩きしています。
「ドーパミンが切れる」という言い方も同様です。脳の中のドーパミンを同じ人で追った研究は、見つけられませんでした。血液の指標では、恋に落ちたばかりの人の変化が12〜24か月後に消えていた研究があります(Marazziti & Canale 2004、Emanuele ら 2006、要旨で確認。数十人の研究)。
言えるのは、情熱的な愛は平均として下がるが、下がらない人もいる、というところまでです。
使っている理論
- 自己拡張モデル(社会心理学 / 動機づけと親密性)— 人は自己を拡張する(できることや視野を広げる)動機を持ち、親密な関係はその主要な手段になる。
この話は、図解つきの読み物としても書いています。研究の中身を1本ずつ図にした版です。
noteで読む →参照している研究
- Heyman, R. E., & Smith Slep, A. M. (2001). The hazards of predicting divorce without crossvalidation. Journal of Marriage and Family, 63(2), 473–479.
- Aron, A., Norman, C. C., Aron, E. N., McKenna, C., & Heyman, R. E. (2000). Couples' shared participation in novel and arousing activities and experienced relationship quality. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 273–284.
- Acevedo, B. P., & Aron, A. (2009). Does a long-term relationship kill romantic love? Review of General Psychology, 13(1), 59–65.
- Aron, A., Aron, E. N., & Smollan, D. (1992). Inclusion of Other in the Self Scale and the structure of interpersonal closeness. Journal of Personality and Social Psychology, 63(4), 596–612.