離婚予測の交差検証問題
方法論批判・2001年・Journal of Marriage and Family
この研究は何をしたか
夫婦の観察データから離婚を予測した研究について、モデルを作ったのと同じデータで精度を報告する手法の問題を検討した。
何が分かったか
交差検証を行うと、精度と予測的中率が大きく低下する。報告されていた80〜90%台は、結果を知った後の当てはめによる部分が大きい。
読むときの注意
やりとりの質と関係の行方に関連があること自体は否定されていない。争点は精度の数字の出し方。
この研究が根拠になっている悩み(7件)
- マンネリは避けられないのか 強い
目新しく刺激的な活動を共有すると、関係の質の評価が上がる。単に快いだけの活動では同じ効果が出ない。 - 「一心同体」は良いことなのか そこそこ
相手を自分の一部として取り込んでいる度合いが、親密さをよく捉える。ただし取り込みが常に良いとは限らない。 - 喧嘩で何が致命的なのか そこそこ
何を言い争うかより、どう言い争うかのほうが、その後の関係と結びつく。ただしよく引用される高い予測精度は、別のデータで確かめ直されていない。 - 喧嘩の仕方で別れが予測できるのか そこそこ
会話のパターンと関係の行方に関連はある。ただし有名な「高精度で予測」の数字は、当てにいった予測ではなく、結果を知った後の当てはめから出ている。 - 恋は3年で冷めるのか 弱い
「3年」という区切りに実証はない。情熱的な愛は平均的に下がるが、長期でも保っている人がいる。 - 元彼が忘れられないのは、なぜか そこそこ
忘れられなさは自己概念の明確さの低下として測られ、回復はその回復として測られている。 - 「37%を見送ってから決めろ」は正しいのか 弱い
37%という数字は厳密な条件下での最適解であり、恋愛はその条件を満たしていない。
関係する理論
同じ話題で参照している研究
- 理想と実際のズレ(実証研究・2008)
事前に申告した理想は、実際の魅力の判断をほとんど予測しなかった。申告された性差は、実際の選択には現れにくい。 - 関係の質を何が予測するか(機械学習・大規模統合・2020)
もっとも強く効いたのは、相手の属性ではなく、回答者自身がその関係をどう感じているか(コミットメント、感謝、満足)だった。相手側の変数の寄与は小さかった。 - オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。 - 初対面の好意は予測できるか(実証研究(機械学習)・2017)
好意を3つに分けると、本人の分が12〜14%、相手の分が23〜26%、組み合わせ固有の分が31〜36%で、組み合わせ固有の分がいちばん大きかった。機械学習は本人の分を4〜18%、相手の分を7〜27%説明したが、組み合わせ固有の分はどの組み合わせでも予測できなかった。 - 崩壊を予測する会話の型(縦断研究・1992)
やりとりの型(批判・防衛・回避などの連鎖)と、その後の関係の悪化に関連が見られた。会話の内容より、型のほうが情報を持つ。 - 新奇な活動と関係の質(実験+現地調査・2000)
目新しく刺激的な活動を共有した条件で、関係の質の評価が上がった。単に楽しい活動では同じ効果は出なかった。
書誌情報
Heyman, R. E., & Smith Slep, A. M. (2001). The hazards of predicting divorce without crossvalidation. Journal of Marriage and Family, 63(2), 473–479.