秘書問題(37%ルール)の来歴

数学・歴史的レビュー・1989年・Statistical Science

この研究は何をしたか

「最良の1人を選ぶには、最初の一定割合を見送ってから、それまでの最良を超えた最初の相手を選ぶのがよい」という問題の来歴と解法を整理した。

何が分かったか

候補を順に見て、最初の約37%を見送ってから、それを超える最初の相手を選ぶと、最良を選べる確率が最大になる。ただしこれは厳密に定義された条件の下での最適解である。

読むときの注意

前提は厳しい。候補の総数が分かっている、順序がばらばらに来る、一度断ったら戻れない、目的は最良の1人だけを当てることで2番目では価値がゼロ、相手にも選ぶ権利がない。恋愛はこのどれも満たしていない。

この研究が置かれている文脈

「結婚相手は候補の37%を見送ってから決めよ」という形で広く引かれますが、それは前提を落とした使い方です。この論文は数学の問題としての来歴を扱ったもので、恋愛への処方ではありません。有名な数字が、前提を外して流通する例として置いています。

この研究が根拠になっている悩み(1件)

関係する理論

  • 最適停止(37%ルール)(統計・意思決定理論)
    候補を順に見て最良の1人を選ぶとき、最初の約37%を見送ってから、それを超える最初の相手を選ぶのが最適になる。

同じ話題で参照している研究

  • 離婚予測の交差検証問題(方法論批判・2001)
    交差検証を行うと、精度と予測的中率が大きく低下する。報告されていた80〜90%台は、結果を知った後の当てはめによる部分が大きい。
  • 理想と実際のズレ(実証研究・2008)
    事前に申告した理想は、実際の魅力の判断をほとんど予測しなかった。申告された性差は、実際の選択には現れにくい。
  • 関係の質を何が予測するか(機械学習・大規模統合・2020)
    もっとも強く効いたのは、相手の属性ではなく、回答者自身がその関係をどう感じているか(コミットメント、感謝、満足)だった。相手側の変数の寄与は小さかった。
  • オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
    出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。

書誌情報

Ferguson, T. S. (1989). Who solved the secretary problem? Statistical Science, 4(3), 282–289.
恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。