ゲイン・ロス効果

実験・1965年・Journal of Experimental Social Psychology

この研究は何をしたか

相手からの評価が、最初から好意的な場合と、否定から好意へ変わる場合とで、相手への魅力がどう違うかを調べた。

何が分かったか

最初から好意的だった相手より、否定から好意へ転じた相手のほうが、より魅力的に評価された。逆に、好意から否定へ転じた相手はもっとも低く評価された。

読むときの注意

実験室で作られた評価のやりとりであり、恋愛関係を追ったものではない。追試の結果は一貫していない。

この研究が置かれている文脈

「押して引く」を学術的に裏づける根拠として引かれる代表格です。ただし引かれるのは1965年のこの実験がほとんどで、その後の追試が積み上がっていません。効果を否定する結果ではなく、条件がわかっていない状態と見るのが正確です。

この研究が根拠になっている悩み(1件)

関係する理論

  • 認知的不協和(社会心理学 / 認知的一貫性理論)
    自分の行動と考えが食い違うと不快になり、つじつまを合わせる方向に考えのほうが動く。恋愛の文脈でよく引かれるのは「努力の正当化」——手に入れるのに苦労したものを高く評価する働き。
  • 身体的魅力(社会心理学 / 対人魅力の古典)
    初対面に近い場面では、身体的魅力が「また会いたい」をもっともよく予測する。
  • ゲイン・ロス効果(社会心理学 / 対人魅力の古典)
    ずっと好意的な相手より、否定から好意へ転じた相手のほうが魅力的に見えるという効果。

同じ話題で参照している研究

  • 通過儀礼と集団評価(実験・1959)
    重い通過儀礼を経た条件の参加者が、同じ討論をもっとも高く評価した。払ったコストに合わせて評価が動く。
  • 認知的不協和理論(理論書・1957)
    社会心理学の基礎理論のひとつ。恋愛に固有の理論ではなく、態度変容の一般理論。

書誌情報

Aronson, E., & Linder, D. (1965). Gain and loss of esteem as determinants of interpersonal attractiveness. Journal of Experimental Social Psychology, 1(2), 156–171.
恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。