通過儀礼と集団評価
実験・1959年・Journal of Abnormal and Social Psychology
この研究は何をしたか
女性参加者を3条件(通過儀礼なし/軽い/重い)に無作為に割り当て、そのあと全員に同じ退屈な討論の録音を聞かせて評価させた。
何が分かったか
重い通過儀礼を経た条件の参加者が、同じ討論をもっとも高く評価した。払ったコストに合わせて評価が動く。
読むときの注意
対象は集団であって特定の個人ではない。コストを払うのは本人の意思。恋愛での「意図的な冷淡さ」とは条件が対応しない。
この研究が根拠になっている悩み(5件)
- 押して引くと、相手は好きになるのか 根拠なし
理論は本物。だが「わざと冷たくする→好意が増す」への適用は実証されていない。 - 頼み事をすると、好かれるのか そこそこ
人に何かをしてあげた側のほうが、相手への好意が上がる場合がある。 - 見た目がいいと、中身までよく見えるのか 強い
ある側面の評価が、無関係な他の側面の評価に波及し、本人はそれに気づかない。 - 小さなお願いから始めると、大きな頼みが通るのか そこそこ
先の小さな承諾が、あとの大きな承諾の確率を上げる。ただし効果は小さい。 - みんな、自分より上を狙っているのか そこそこ
配偶市場には望ましさの順位構造があり、人は自分より上へ送る傾向がある。
関係する理論
同じ話題で参照している研究
- 認知的不協和理論(理論書・1957)
社会心理学の基礎理論のひとつ。恋愛に固有の理論ではなく、態度変容の一般理論。 - 短時間観察の予測力(メタ分析・1992)
30秒程度の観察でも、人柄や対人的な結果をかなりの精度で予測できた。観察時間を長くしても精度は劇的には上がらない。 - 身体的魅力の効果(実験・1966)
事前に測った性格や能力ではなく、身体的魅力がもっともよく予測した。 - 自己への他者の取り込み(尺度開発・1992)
「相手を自分の一部として取り込んでいる度合い」が、関係の親密さをよく捉えていた。単純な図形選択が、長い質問紙と同等以上の予測力を持った。 - 頼み事をされた側が相手を好きになる(実験・1969)
実験者から直接頼まれて応じた人が、実験者をもっとも好意的に評価した。第三者を介して頼まれた場合、この差は出なかった。 - ハロー効果(実験・1977)
温かい講師を見た人は、外見やしぐさまで好意的に評価した。参加者は自分の評価がそこに影響されたことに気づいていなかった。
書誌情報
Aronson, E., & Mills, J. (1959). The effect of severity of initiation on liking for a group. Journal of Abnormal and Social Psychology, 59(2), 177–181.