悩み 53

相手をまねると、好かれるのか

ミラーリング。まねが起きること自体と、まねると好かれることは別の話です。

結論から言うと

人が意識せず相手のしぐさをまねていることは、繰り返し確認されています。ただし「意識してまねると好かれる」ほうは、原典1本に寄りかかったままで、統合的な検証が確立していません。

恋愛工学の答え

「相手の動きをまねて、無意識に親近感を作れ。」

ミラーリングとして広く運用されています。根拠として引かれるのはほぼ1つの研究です。

研究の答え

模倣は自然に起きる。模倣が好意を生むかは、条件も大きさも定まっていない。

初対面の相手と作業する場面を観察した研究があります。人は意識しないまま相手のしぐさをまねていました。足を組む、顔に触れる、といった動作がうつっていたのです。

同じ研究の別の部分では、相手にわざとまねさせた場合に、まねられた側が相手をやや好ましく感じ、やりとりが滑らかだったと評価しています。

ここで分けて考える必要があります。まねが起きることは広く確認されています。まねると好かれることは、そこまで固まっていません。

この技法が引くのはほぼこの1本で、好意への効果について統合的な検証が確立していないのが現状です。さらに、自然に起きるまねと、意識してやるまねが同じ結果を生むかも、この研究からは言えません。

出典:Chartrand & Bargh (1999)

研究の中身

Chartrand, T. L., & Bargh, J. A. (1999). The chameleon effect: The perception–behavior link and social interaction. Journal of Personality and Social Psychology, 76(6), 893–910.
何をしたか
初対面の相手と作業する場面で、相手のしぐさが自然にうつるかを観察した。別の研究では、相手にわざとまねさせて好意の変化を測った。3つの研究から成る。
何が分かったか
人は意識しないまま相手のしぐさをまねていた。まねられた側は、相手をやや好ましく感じ、やりとりが滑らかだったと評価した。
どのくらいの強さか
社会心理学でもっとも引用された研究のひとつ。

議論されている点

模倣が起きることと、模倣が好意を生むことは別の主張です。

前者は広く確認されています。後者については、この技法が引くのはほぼこの1本で、統合的な検証が確立していません。

さらに、自然に起きる模倣と、意識してやる模倣が同じ結果を生むかも、この研究からは言えません。意図した模倣が相手に気づかれた場合に何が起きるかも扱われていません。

使っている理論

  • カメレオン効果(社会心理学 / 非意識的な模倣)— 人は意識しないまま相手のしぐさや姿勢をまねており、まねられた側は相手を好ましく感じる。
  • 短時間観察(社会心理学 / 対人知覚)— 5分以下、短ければ30秒程度の観察でも、他者についての判断はかなり当たる。
恋愛の俗説を、心理学の原典まで遡って確かめています。
根拠の強さを書けない主張は、このサイトでは扱いません。