短時間観察の予測力
メタ分析・1992年・Psychological Bulletin
この研究は何をしたか
5分以下の短い行動の切れ端から下した判断が、どのくらい後の結果を予測するかを調べた研究群を統合した。
何が分かったか
30秒程度の観察でも、人柄や対人的な結果をかなりの精度で予測できた。観察時間を長くしても精度は劇的には上がらない。
読むときの注意
測ったのは「観察者の判断が当たるか」であって「印象がいつ固定されるか」ではない。「3秒」「7秒」という数字の出典ではない。
この研究が置かれている文脈
メタ分析なので、個別の実験より一段上の証拠になる。ただし統合されたのは「短い観察からの判断が後の結果を予測するか」を測った研究であって、その判断が相手の実像に合っているかどうかは別の問題です。第一印象は何秒で決まる、という通俗的な数字の出典として引かれることがあるが、この研究はそういう数字を出していません。
この研究が根拠になっている悩み(3件)
- 第一印象は何秒で決まるのか そこそこ
ごく短い観察でも他者の判断はかなり当たる。ただし「3秒」「7秒」といった具体的な秒数に出典はない。 - 見た目がいいと、中身までよく見えるのか 強い
ある側面の評価が、無関係な他の側面の評価に波及し、本人はそれに気づかない。 - 相手をまねると、好かれるのか そこそこ
模倣は自然に起きる。模倣が好意を生むかは、条件も大きさも定まっていない。
関係する理論
- 短時間観察(社会心理学 / 対人知覚)
5分以下、短ければ30秒程度の観察でも、他者についての判断はかなり当たる。
同じ話題で参照している研究
- 通過儀礼と集団評価(実験・1959)
重い通過儀礼を経た条件の参加者が、同じ討論をもっとも高く評価した。払ったコストに合わせて評価が動く。 - 身体的魅力の効果(実験・1966)
事前に測った性格や能力ではなく、身体的魅力がもっともよく予測した。 - 自己への他者の取り込み(尺度開発・1992)
「相手を自分の一部として取り込んでいる度合い」が、関係の親密さをよく捉えていた。単純な図形選択が、長い質問紙と同等以上の予測力を持った。 - ハロー効果(実験・1977)
温かい講師を見た人は、外見やしぐさまで好意的に評価した。参加者は自分の評価がそこに影響されたことに気づいていなかった。 - カメレオン効果(実験(3研究)・1999)
人は意識しないまま相手のしぐさをまねていた。まねられた側は、相手をやや好ましく感じ、やりとりが滑らかだったと評価した。 - 印象形成と初頭効果(実験・1946)
並べる順番を変えるだけで印象が変わった。先に出た語が、あとの語の受け取られ方を方向づけていた。印象は語の足し算ではなく、まとまりとして作られていた。
書誌情報
Ambady, N., & Rosenthal, R. (1992). Thin slices of expressive behavior as predictors of interpersonal consequences: A meta-analysis. Psychological Bulletin, 111(2), 256–274.