逆推論は成り立つのか
方法論批判・2006年・Trends in Cognitive Sciences
この研究は何をしたか
「この領域が働いたから、この心の働きが起きていた」という推論が、どの程度成り立つかを検討した。
何が分かったか
多くの領域はさまざまな課題で働くため、活動から心の状態を逆向きに当てるのは難しい。推論の確からしさは、その領域がどれだけその働きに特化しているかで決まる。
読むときの注意
脳画像研究そのものを否定するものではなく、結果の読み方についての指摘。
この研究が置かれている文脈
このサイトが脳科学の知見を根拠に使うときの前提になっている論文です。 「脳のここが光った」から「こういう気持ちだった」を導く語り口は、恋愛の解説で頻繁に使われますが、その論法自体に無理があることを示しています。
この研究が根拠になっている悩み(1件)
- 拒絶されると、本当に「痛い」のか そこそこ
拒絶時の脳活動は、痛みに関わる領域と一部重なる。ただし同じ経験だとは示されていない。
関係する理論
- 逆推論の問題(認知神経科学 / 方法論)
「この領域が働いたから、この心の働きが起きていた」という向きの推論は、多くの場合成り立たない。
同じ話題で参照している研究
- 拒絶と痛みの脳活動(脳画像実験・2003)
体の痛みに関わるとされる領域と重なる活動が見られた。つらさの報告が強い人ほど、その活動も強かった。 - 失恋と体の痛みの重なり(脳画像実験・2011)
体の感覚に関わる領域に、両方で重なる活動が見られた。先行研究より感覚寄りの領域まで重なっていた。
書誌情報
Poldrack, R. A. (2006). Can cognitive processes be inferred from neuroimaging data? Trends in Cognitive Sciences, 10(2), 59–63.