オキシトシンと信頼の再検討
批判的レビュー・2015年・Perspectives on Psychological Science
この研究は何をしたか
点鼻投与で信頼が上がるという知見を中心に、実験・個人差・遺伝子多型の3系統の証拠を整理し直した。
何が分かったか
もっとも有名な「点鼻オキシトシンで信頼が上がる」という結果は、うまく再現されていない。
読むときの注意
オキシトシンが無関係という証明ではない。方法の問題(脳への到達量が不明など)が大きく、現状では効果の有無を判定できないという指摘。
この研究が根拠になっている悩み(1件)
- スキンシップは、関係を強めるのか そこそこ
触れ合いの多さと関係の満足には関連がある。ただしホルモン一つで説明する図式は単純化しすぎ。
同じ話題で参照している研究
- 恋愛への愛着理論の適用(実証研究・1987)
恋愛関係にも、安定・不安・回避に対応するパターンが観察されることを示した。以後の成人愛着研究の出発点。 - 愛着の4分類モデル(実証研究・1991)
回避には2種類ある。人を必要としない拒絶回避型と、近づきたいが怖い恐れ回避型は、行動は似ていても内側が違う。 - 自己への他者の取り込み(尺度開発・1992)
「相手を自分の一部として取り込んでいる度合い」が、関係の親密さをよく捉えていた。単純な図形選択が、長い質問紙と同等以上の予測力を持った。
書誌情報
Nave, G., Camerer, C., & McCullough, M. (2015). Does oxytocin increase trust in humans? A critical review of research. Perspectives on Psychological Science, 10(6), 772–789.