悩み 18
その失敗、相手は半分も覚えていない
デートでの失言が、何日も頭から離れない。
結論から言うと
実際に覚えていた人は、自分の予想の半分以下だった。人は自分が思うほど見られていない。
恋愛工学の答え
「一度でも失敗したら価値が下がる。挽回は難しい。」
評価が一方向に落ちる前提です。この前提が行動を縮こまらせます。
研究の答え
自分の失敗が注目される度合いを、人は大幅に過大評価する。実際に覚えていた人は予測の半分以下だった。
恥ずかしい状況をわざと作り、「何割の人が気づいたと思うか」を予想させる。そのうえで、実際に覚えていた人の割合と比べた実験があります。
予測は実際の倍以上でした。人は自分に向けられているスポットライトの明るさを、大きく見誤っています。
ただし対称的な帰結もあります。**良い行動も同じくらい見られていない。** だから「さりげなくアピールした」も届いていない可能性が高い。挽回は思うより簡単で、アピールは思うより届かない。
出典:Gilovich, T., Medvec, V. H., & Savitsky, K. (2000), JPSP, 78(2), 211–222
研究の中身
Gilovich, T., Medvec, V. H., & Savitsky, K. (2000). The spotlight effect in social judgment. JPSP, 78(2), 211–222.
何をしたか
恥ずかしい服を着せるなどして、自分がどのくらい注目されたと思うかを予測させ、実際に周囲が気づいて覚えていた割合と比べた。
何が分かったか
予測は実際の倍以上だった。自分に向けられた注目の量を、人は大きく見誤る。
どのくらいの強さか
複数の実験で再現されている。
攻略
男性が読む場合
相手の内側で起きていること
相手はあなたの失敗を、あなたが思うほど覚えていない。実際に気づいて記憶していた人は、本人の予測の半分以下だった。ただし同じ理由で、あなたの良い振る舞いも見られていない。
どう活かすか
一度の失敗を理由に撤退しない。逆に「さりげないアピール」は届いていないと考えて、明示に振る。挽回は思うより簡単で、アピールは思うより届かない、と両方向に効かせる。
使える場面
デートで失言したあと連絡しづらいとき。うまく話せなかった翌日。さりげなく好意を示したのに反応がないとき。
女性が読む場合
相手の内側で起きていること
気にしている自分の外見や失敗は、相手の記憶にほとんど残っていない。同時に、こちらが気を配った部分も気づかれていない可能性が高い。
どう活かすか
失敗を引きずって関係を止めない。相手が気づいてくれないことを、関心の低さの証拠として扱わない。どちらも同じ錯覚の裏表。
使える場面
会話で失敗したと感じたとき。外見を気にして会うのを避けたくなったとき。頑張ったことに反応がなかったとき。
この機構自体に性差はほとんど報告されていません。違うのは置かれる状況と、社会的な台本のほうです。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
議論されている点
注目されないことと、印象に残らないことは別です。この知見は「悪い印象も残らない」を保証しません。
そして対称的に、**良い行動も見られていない**可能性があります。「失敗は忘れられる」だけを取ると、都合のいい半分だけを使うことになります。
使っている理論
- スポットライト効果(社会心理学 / 自己中心性バイアス)— 自分の失敗や外見が他人に注目される度合いを、人は大幅に過大評価する。
参照している研究
- Gilovich, T., Savitsky, K., & Medvec, V. H. (1998). The illusion of transparency: Biased assessments of others' ability to read one's emotional states. Journal of Personality and Social Psychology, 75(2), 332–346.
- Gilovich, T., Medvec, V. H., & Savitsky, K. (2000). The spotlight effect in social judgment: An egocentric bias in estimates of the salience of one's own actions and appearance. Journal of Personality and Social Psychology, 78(2), 211–222.