つらさは予測ほど続かない
実験(6研究)・1998年・JPSP
この研究は何をしたか
悪い出来事のあと、自分がどれくらいの期間つらいままかを予測させ、実際の回復と突き合わせた。恋人との破局も対象に含まれている。
何が分かったか
人は、つらさが続く期間を実際より長く見積もっていた。自分の中に働く立ち直りの仕組みを、予測のときに計算に入れていないためと解釈された。
読むときの注意
平均としての傾向であり、誰でも同じ速さで回復するという意味ではない。回復が長引く場合を否定するものではない。
この研究が置かれている文脈
感情予測の研究は、この論文以降ひとつの分野になりました。恋愛に直接効く数少ない知見のひとつで、しかも読む人の側に有利に働きます。破局を実際の対象に含めている点が重要です。
この研究が根拠になっている悩み(2件)
- 失恋のつらさは、思っているほど長く続かない 強い
悪い出来事の影響が続く期間を、人は一貫して長く見積もる。 - 元彼が忘れられないのは、なぜか そこそこ
忘れられなさは自己概念の明確さの低下として測られ、回復はその回復として測られている。
関係する理論
- インパクト・バイアス(社会心理学 / 感情予測研究)
悪い出来事のあと、自分がどれくらいの期間つらいままかを、人は実際より長く見積もる。
同じ話題で参照している研究
- 離婚予測の交差検証問題(方法論批判・2001)
交差検証を行うと、精度と予測的中率が大きく低下する。報告されていた80〜90%台は、結果を知った後の当てはめによる部分が大きい。 - 理想と実際のズレ(実証研究・2008)
事前に申告した理想は、実際の魅力の判断をほとんど予測しなかった。申告された性差は、実際の選択には現れにくい。 - オンラインデーティングの検証(批判的レビュー・2012)
出会いの数を増やす点は明確な利点。一方、事前のプロフィール情報から相性を予測できるという主張には、支持する証拠が乏しい。 - 新奇な活動と関係の質(実験+現地調査・2000)
目新しく刺激的な活動を共有した条件で、関係の質の評価が上がった。単に楽しい活動では同じ効果は出なかった。 - 別れの予測因のメタ分析(メタ分析・2010)
もっとも強く予測したのはコミットメント・愛情・関係への適応といった内側の変数。人口統計的な属性の予測力は弱かった。 - 別れたあとの感情の経過と、元相手との接触(日誌法(28日)・2005)
愛情は直線的に減り、悲しみ・怒り・安堵は曲線的に変化した。元の相手と接触があると、愛情と悲しみの減り方が遅くなった。愛着スタイルと別れの衝撃が、出発点と変化の速さを予測した。
書誌情報
Gilbert, D. T., Pinel, E. C., Wilson, T. D., Blumberg, S. J., & Wheatley, T. P. (1998). Immune neglect: A source of durability bias in affective forecasting. Journal of Personality and Social Psychology, 75(3), 617–638.