悩み 08
共通点が多いと惹かれるのか
趣味が合う人とは、うまくいきやすいのか。
結論から言うと
出会いの段階では効く。でも付き合ったあとに効いているのは、実際の共通点ではなく「似ていると感じられるかどうか」のほう。
恋愛工学の答え
「相手に合わせて共通点を作れ。話を合わせるほど距離が縮まる。」
類似性を意図的に演出する技法。ミラーリングなどもこの系統に入ります。
研究の答え
類似性は魅力を高める。ただし関係が始まった後に効いているのは、実際の共通点ではなく「似ていると感じられること」。
313の研究・460の効果量をまとめたメタ分析があります。実際の類似性(r = .47)も、知覚された類似性(r = .39)も、どちらも魅力と強く関連していました。
重要なのはその内訳です。実際の類似性が効くのは、相手とやりとりのない場面や、ごく短いやりとりの場面まで。すでに関係がある相手に対しては、実際の類似性の効果は有意になりませんでした。一方で、知覚された類似性はどの段階でも効いていました。
つまり関係が続くほど、効き目は移っていきます。「実際に似ていること」から、「似ていると感じられること」のほうへ。
出典:Montoya, Horton & Kirchner (2008), Journal of Social and Personal Relationships, 25(6), 889–922
研究の中身
Montoya, R. M., Horton, R. S., & Kirchner, J. (2008). Is actual similarity necessary for attraction? A meta-analysis of actual and perceived similarity. Journal of Social and Personal Relationships, 25(6), 889–922.
何をしたか
実験室研究と現場研究あわせて313件、460の効果量を統合。「実際に似ていること」と「似ていると感じられること」を分け、やりとりのない場面・短いやりとり・既存の関係の3つの段階ごとに効果を比べた。
何が分かったか
実際の類似性 r = .47、知覚された類似性 r = .39 と、どちらも魅力と強く関連。ただし実際の類似性の効果は、やりとりが増えるほど小さくなり、既存の関係では有意にならなかった。知覚された類似性は全段階で効いていた。
どのくらいの強さか
r = .47 は心理学の知見としては大きい部類。段階による内訳が出ている点がこの研究の価値です。
攻略
男性が読む場合
相手の内側で起きていること
相手の中で効いているのは、実際の共通点よりも「似ていると感じられること」。関係が始まった後は、実際の類似性の効果は有意にならず、知覚された類似性だけが効き続ける。
どう活かすか
共通点を演出するより、相手が「分かってもらえている」と感じる状態を作るほうが理屈に合う。趣味を合わせるのではなく、相手の話の前提を拾って返す。初対面では実際の共通点も効くので、そこは探す価値がある。
使える場面
初対面で話題を探すとき。趣味が合わないと感じたとき。長く続いた関係で会話が減ったとき。
女性が読む場合
相手の内側で起きていること
「話が合う」と感じたとき、それが実際の一致なのか、相手が合わせているのかは区別しにくい。ただし研究上は、感じられる類似性のほうが関係に効いている。区別できないこと自体は異常ではない。
どう活かすか
合わせられていると気づいたときに、それだけで切らない。演出と、実際に理解することの差は、時間の経過と場面の変化で出る。相手が自分の前提を覚えているかを見る。
使える場面
初対面で驚くほど話が合ったとき。相手が自分の趣味に急に詳しくなったとき。共通点がないことを不安に感じたとき。
この機構自体に性差はほとんど報告されていません。違うのは置かれる状況と、社会的な台本のほうです。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
「どう活かすか」「使える場面」はモデルから導かれる読み方であって、その手順の効果を検証した研究があるわけではありません。
議論されている点
「感じられる類似性が効く」という結果は、そのまま「思わせればよい」を意味しません。この研究は相関の構造を示したもので、意図的に演出した類似性が同じ効果を持つかは検証されていません。
実際、演出が見破られた場合に何が起きるかを扱った研究は、この分析には含まれていません。