褒めたときの相手の喜びを低く見積もる
実験(5研究・事前登録)・2021年・Personality and Social Psychology Bulletin
この研究は何をしたか
参加者をキャンパスの決まった場所へ行かせ、4人目に見かけた同性の見知らぬ人に「そのシャツ、いいですね」と声をかけさせた。声をかける前に相手がどう感じるかを予想させ、相手には封筒の中のアンケートで実際の感じ方を答えてもらった。5つの実験のうち、2つは声をかけたあとにもう一度同じことを聞き、1つは同じ場面を第三者に予想させている。
何が分かったか
声をかける側の予想 3.93 に対し、相手の実際は 4.66(7点で測定、t(92) = 4.48)。「迷惑がられる」の見積もりはもっと外れていて、予想 4.17 に対し実際 2.42。声をかけたあとにもう一度聞いても、「喜ぶ」の見積もりは動かなかった(4.18 → 4.43、p = .12)。「迷惑がられる」は 4.17 → 3.39 に下がったが、実際の 2.42 とはまだ離れていた。同じ場面を第三者に予想させると当たっていた(第三者 5.26 / 実際 5.16 / 本人 4.45)。声をかけた本人の気分は 4.13 から 5.26 に上がった。
読むときの注意
見知らぬ人への1回の声かけを測ったもので、会話のあとの好意の見積もりとは別の場面。対象は大学生が中心(平均21歳前後)。「褒めれば好かれる」を示した研究ではなく、その場で相手がどう感じたかまで。第三者との比較は探索的で、信頼区間の重なりで判断している。
この研究が置かれている文脈
「言ったら迷惑かもしれない」という予想は、この実験では一度も当たりませんでした。そして、実際にやって相手の反応を見たあとでも、その予想はほとんど直っていません。「やってみれば分かる」は、少なくともこの1回では起きていません。